米国なら大幅減俸はない…田中将大は越年更改で楽天と何を話すのか

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田中が球団と話したいことは何か

 米球界と同じ査定をしたら、田中の9億円から4億7500万円への減額は「ナゼ?」というわけだ。この契約更改時に、MLB情報を扱うコロンビアのスポーツサイト「Momento Deportivo」にこんな記事が残っていた。

「タナカの年俸が半額ほどになってしまった。日本復帰後の2シーズンで318イニング3分の2を投げ、13勝21敗、防御率3・16。22年シーズンのWHIPは1.16、FIPが3.46。今も優秀な投手ではあるが」(23年1月7日付)

 WHIPは1イニングあたりに許した走者の数。「与四球+被安打数」を投球回数で割ったもので、メジャー平均は毎年1.30ほど。FIPは「被本塁打、与四死球、奪三振数」のみで表す数値で、米球界では「真の防御率」とも言われている。メジャーリーグではWHIPとFIPで投手能力を量るので、田中が大減俸となった理由が分からないというわけだ。

 もっとも、田中自身は「ファンの期待に応えられず……」と何度もコメントしている。日本式の査定に異を唱えているわけではないようだ。9億円から4億7500万円、今回もさらに“半減”となりそうなので、自身に対する球団の評価を改めて聞きたいと思っているのかもしれない。

「安楽智大元投手(27)のパワハラが報告され、一部で『田中は止めようとせず、いっしょにやっていたようだ』とする報道もありました。球団もチームリーダーとして田中に期待してきたので、この件についてもきちんと話し合いたいのでは」(前出・地元メディア関係者)

 年齢との戦いも始まっている。NPBやデータスタジアムなど数値を見ると、その投球スタイルも変わりつつあるようだ。代名詞でもあったスプリットの空振り率は15%台まで落ち、22年まで全投球の割合で4%しかなかったツーシームが23年は16.7%まで増えている。制球力も落ちた。与四球率は21年が1.68、22年は1.66。23年は2.62まで跳ね上がった。

 圧倒的なピッチングは見られなくなったが、曲がり幅の小さい変化球で相手打者のバットの芯を外す投球術、ピッチャーズプレートを外して相手の打ち気を逸らす心理的テクニックなどは健在だ。しかし、こうした老獪さやテクニックはファンに伝わりにくく、日本式の査定にも反映されにくいものなのかもしれない。

 田中と球団の交渉は長期化しそうだ。

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