ソフトバンク、“大型補強”に失敗か…FA移籍の山崎福也に断られ、山川穂高も“不透明” 常勝軍団復活はできるのか

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オリックスとの差は歴然

 他の補強としては、新外国人選手の獲得が考えられるが、投手は、既にモイネロ、オスナと実績のある2人と、夏場以降に先発に定着したスチュワート・ジュニアが控えている。一軍登録の枠が4人までという点を考えると、新外国人選手が大きなプラスになるとは考えづらい。ここ数年は、野手の外国人選手がこととごく苦戦しており、今年も4人の外国人野手で放った一軍でのホームランは、わずかに1本という散々なものだった。

 当然、球団としても実績のある選手を集めるだけではなく、三軍に加えて四軍も創設し、アメリカのマイナーリーグを参考にしてチームの強化を図っていくと報じられている。しかし、日本の場合、どうしても70人枠という支配下登録の制限が大きなネックとなっており、育成選手は3年で一度自由契約になるというルールもある。また、FAやトレードでの移籍は、米国に比べると少なく、有望な若手選手を交換要員にして、実績を持つ選手を獲得することが難しい。

 実際、ソフトバンクが近年、育成ドラフトで獲得した選手を見ても、一軍の戦力になっているのは周東佑京と大関友久くらいしか見当たらない。周東と同期入団の大竹耕太郎が、現役ドラフトで移籍して、今年、阪神でブレイクしたのも皮肉な話だ。今年は、育成契約から支配下登録されたのは、ルーキーの木村光だけであり、多くの選手は背番号三桁のまま、ユニフォームを脱いでいる。

 改めて、来シーズンの予想メンバーを並べてみても、投手陣は、パ・リーグ最年長の和田毅を筆頭に、東浜巨や又吉克樹、石川柊太、有原航平。野手陣は、前出の柳田や中村、近藤をはじめ、今宮健太と甲斐拓也、牧原大成と30歳以上の選手が並び、若手はほとんど見当たらない。

 昨年オフに獲得した有原と近藤が、期待通りの活躍を見せたのはプラス材料だが、今年の山崎の獲得失敗の例を見ても、同じような補強が続けられる可能性は低い。レギュラーを脅かす若手も少なく、吉田正尚(現・レッドソックス)や山本由伸(メジャーリーグへのポスティング移籍を申請)が抜けることになっても、次から次への新星が飛び出してくるオリックスとの差は歴然だ。

 現在の主力が衰える前に、次のレギュラー候補をどこまで揃えることができるのか。常勝軍団復活のためには、今後、数年が極めて重要になることは間違いない。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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