ソフトバンク、“大型補強”に失敗か…FA移籍の山崎福也に断られ、山川穂高も“不透明” 常勝軍団復活はできるのか

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ダントツの優勝候補だったのに

 2011年から2020年までの10年間で7度の日本一と圧倒的な強さを誇ったソフトバンクだが、それ以降の3年間はオリックスの後塵を拝する結果となっている。特に昨年オフは近藤健介をはじめ、有原航平やオスナ、ガンケル、嶺井博希らの大型補強を敢行し、ダントツの優勝候補と評判だったものの、最終的にはオリックスに15.5ゲームの大差をつけられての3位に終わった。【西尾典文/野球ライター】

 今年のオフもパ・リーグの覇権を取り戻すべく、さらなる大型補強に乗り出すと見られていたが、ここまでは例年と比べて、補強が上手く進んでいない。高橋礼と泉圭輔を交換要員に、巨人からウォーカーを獲得したが、そこまで強いインパクトがある補強とはいえない(移籍に関する情報は12月6日時点)。

 ウォーカーは、来日1年目の昨年は打率.271、23本塁打、52打点とまずまずの成績を残したものの、7月以降は極度な不振に陥った。2年目の今年は、外国人枠の関係もあったが、57試合の出場で打率.263、6本塁打、20打点と大きく成績を落としており、二軍でも目立った活躍を見せることはできなかった。

 来年で33歳という年齢や、守備の不安もあり、ここから大きく成績を伸ばすとは考えづらい。むしろ、二軍で抜群の結果を残していた高橋、年齢的にまだ若い泉を獲得できた巨人の方が、プラスが大きいという意見も多い。

“最優先事項”といえる補強に失敗

 そして、大きな誤算は、オリックスをフリー・エージェント(FA)となった山崎福也の獲得に失敗したことだ。残留交渉を行っていたオリックスを含めて6球団の大争奪戦となり、条件面ではソフトバンクが圧倒的に有利と見られていた。だが、最終的に山崎が選んだ球団は日本ハムだった。山崎の決断が、ソフトバンクに与えた衝撃は大きかったという。

「昨年の近藤(健介)も一時は他球団が有利と見られていましたが、最終的には条件面で大きく上回るソフトバンクに入団しているため、山崎も獲得できると思っていた関係者は多かったようです。それが蓋を開けてみれば、山崎は、同じパ・リーグの日本ハムを選んだ。ソフトバンクにとっては、“二重の痛手”だったと言えるでしょう。今後は山崎に限らず、金銭よりも自分がいかに必要とされているか、また活躍しやすい環境かどうかということを重視する選手が増えているように思います。昨年オフに、好条件で入団した嶺井(博希)の出番(今年のスタメン出場はわずかに9試合)が極めて少なかったということも、影響したかもしれませんね」(在京スポーツ紙記者)

 ソフトバンクの投手陣を見てみると、規定投球回数に到達した選手は1人もおらず、左投手で最多の8勝をマークした和田毅は、来年で43歳という大ベテランである。チーム事情を考えると、山崎は喉から手が出るほど欲しかった投手であり、山崎に提示した条件にも、それが現れていた。“最優先事項”といえる補強に失敗したことで、完全に計算が狂ったと言えそうだ。

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