打撃補強に重点の中日「立浪監督」に残る不安 「ジェネレーション・ギャップを何とかした方が」

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打撃補強に期待できない?

 中日ドラゴンズが11月24日に中島宏之(41=前巨人)、上林誠知(28=前ソフトバンク)、前阪神・山本泰寛(30)、同・板山祐太郎(29)の4選手の獲得を発表したが、その仕掛け人は、立浪和義監督(54)だ。

 今季の総得点はリーグワーストの390。2リーグ分裂後に「400得点」を割ったのは球団史上2度目。しかも、2年連続の最下位は、球団初の屈辱である。チーム低迷の要因が打線にあることは、これまで何度も指摘されてきた。

「巨人を退団した中田翔(34)を獲得する動きが水面下であると聞いています。ドミニカ共和国のウインターリーグへ、大塚晶文投手コーチ(51)を派遣しており、さらに強打の新外国人選手も獲得するつもりです」(名古屋在住記者)

 ところが、地元のドラゴンズファンは、今回の補強よりも、ドラフト1位投手・草加勝(22=亜大)、同じく2位の内野手・津田啓史(21=三菱重工East)への関心が高いという。

「津田は二遊間のレギュラーを獲るかもしれません。ドラフトの注目社会人選手は、DeNAに1位指名された度会隆輝(21=ENEOS)でしたが、津田もかなり評価は高く、『右打ちの津田、左打ちの度会』と、期待されています」(アマチュア野球担当記者)

 この時期、地元メディアは新加入選手をメインに、ドラゴンズ特集を組むのが恒例だが、今オフはそれが少なく、代わりにチームの再建に関する情報を多く報じている。そのため、ファンは津田に期待を寄せているというのに、その凄さがいまひとつ伝わっていないようだ。

「できないなら人を代えるしかない」

「去年も今年も、オフの特集の柱はチームの再建についてです。今年は『またか?』と思っているファンもいるでしょう。2年連続の最下位で、ファンから様々な意見が出ていますが、昨年のオフくらいから球団とファンの間に距離感ができているという指摘もあります」(前出・名古屋在住記者)

 立浪監督就任1年目、最下位という結果以上にファンを驚かせたのは、京田陽太(29=現・DeNA)、阿部寿樹(33=現・東北楽天)の二遊間レギュラーをトレードで放出したことだった。だが、地元メディアは看板選手の突然の放出に、思い当たるフシがあったという。

「ペナントレースが終わるころ、立浪監督がこう語ったんです。『できないなら人を代えるしかない。今のままのメンバーで優勝できるチームはできない。時間は掛かるかもしれないけど、思い切って』。これからは若手を使っていくのかと思ったら、トレードするということだったんでしょう」(前出・同)

「人を代える」改革に、少し冷たくないかという声も出た。この22年オフには、05年高校生ドラフト1巡目指名で、4番打者も務めた平田良介氏(35)にも戦力外を通達している。近年は成績も落としていたが、自主トレに大阪桐蔭高の後輩・根尾昂(23)を誘うなどの、リーダーシップも発揮していたからだ。

「最多安打のタイトルを獲得した岡林勇希(21)の台頭もありました。外野では岡林を、二遊間では22年ドラフト指名の村松開人(22)、田中幹也(23)、福永裕基(27)を使うことを前提に、京田らを出したのでしょう」(前出・同)

 世代交代を加速させるためとはいえ、京田らはチームの功労者である。看板選手をバッサリ切り捨てるやり方に、地元ファンも衝撃を受けた。過去の中日の大型トレードといえば、故・星野仙一氏が思い出される。星野氏は86年オフに4対1の交換トレードで、ロッテから落合博満氏を獲得し、翌年2位、翌々年は優勝に導いた。今年、結果を出せなかった以上、立浪監督に厳しい声が上がるのも当然だろう。

 さらに言えば、立浪監督が就任して以来、野手陣のほとんどが打撃成績を落としている。中日打線の不甲斐なさは、前政権でも課題とされていた。立浪監督は就任会見で「打つほうはなんとかします」と宣言していたのに、である。

 原因はいろいろあろうが、例えば、監督として初の指導を行った21年の秋季キャンプでのこと。監督自ら打撃指導にあたったのだが、そのなかには高橋周平(29)、京田、阿部、木下拓哉(31)、ビシエド(34)といったレギュラー陣も含まれていた。

「この時のメイン練習は打撃フォームの改造です。立浪監督は軸足に溜めを作って、じっくりとボールを待つ打ち方を勧めたんです。ただ、選手は自分なりの打ち方を持っていたので、戸惑っていました」(チーム関係者)

 監督直々の打撃フォーム改造は「指導」なのか「指令」なのか。監督にすれば「もっと打席で力を発揮できるように」というアドバイスだったが、選手にはうまく伝わらなかったという。

 結局、この2年間で立浪指導がうまくいったのは、22年オフに現役ドラフトで加入した細川成也(25)、今季途中に移籍してきた宇佐見真吾(30)くらい。いわば外様選手ばかりだ。

 補強した選手ばかりが目立つ今のチーム状況を見て、地元ファンは「生え抜きの若手野手をなんとかして欲しい」と思っている。立浪監督の「できないなら人を代えるしかない」の言葉から始まった今のチーム像には決して満足していないという。

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