西武が提示した“新年俸”が低すぎて大ショック? 山川穂高のFA宣言に、関係者は「ライオンズに残った方が……」

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ギリギリでのFA行使

 埼玉西武ライオンズに残るのか、それとも心機一転、別の球団に移籍するのか――国内フリーエージェント権(以下=FA)を取得した西武の山川穂高(31)が権利を行使した。申請期日の11月14日、それもギリギリの夕方に伝えてきた。

「相当、悩んだのだと思います。西武がフェニックスリーグ中に提示したとされる単年契約は、『減額制度』が定めた40%ダウンを超えていたようです」(球団関係者)

 山川が知人女性への強制性交の疑いで書類送検されたのは今年5月。その後、球団は一軍登録を抹消し、ファーム戦を含む公式戦への出場停止処分(無期限)を下した。8月には嫌疑不十分で不起訴となったが、球団はそのまま処分を解かず、今シーズンが終わってしまった。だが、

「球団の温情で、10月のみやざきフェニックスリーグへの出場が許されました。若手主体のリーグ戦ではありますが、復帰の足掛かりになればと」(ベテラン記者)

 だが、ボタンの掛け違いも始まっていた。山川の今季の推定年俸は2億7000万円。渡辺久信ゼネラルマネージャー(58)が、フェニックスリーグ視察中に提示した新年俸は「1億円を切っていた」(前出・関係者)という。

「22年シーズン途中、秋山翔吾(35=広島)がNPBに復帰しました。古巣である西武はイの一番に獲得交渉に臨みましたが、他に獲得の意を示した広島、ソフトバンク計3球団のなかで、もっとも年俸提示額が低かったのは西武でした。秋山も驚いたと思いますが、たとえかつての功労者でビッグネームだとしても、純粋にそれまでの成績を加味して年俸を算出するのが西武のやり方です。山川に関しても 、チーム全体のバランスと、前年の成績や貢献度を客観的に数字化しました。22年は本塁打、打点の二冠王でしたが、球団の客観的評価は1億円弱だったということです。不起訴とはいえ、あの件も当然、マイナス査定要因になります。仮に山川が条件アップを求めたとしても、見直しはしないでしょう」(前出・関係者)

 山川は減額制限を大幅に超えたダウン提示を見て、改めて自分のやった事の重大性を感じたはずだ。「自分はもう、必要とされていない」と考えても おかしくない。こんな情報も聞かれた。

「今季、17試合にしか出場していない山川は『故障者特例措置』が適用されてのFA権取得でした。渡辺GMが条件提示した際に、山川が残留を即答しなかった時点で球団は『残る意思がない』と思っていました。残る意思があると分かれば、2回目の会談も設定されますから」(スポーツ紙記者)

 日本シリーズ終了翌日にあたる11月6日のFA申請受け付けが始まってすぐ、渡辺GMが改めて山川に減額を提示し、単年契約を打診したことを明かし「あとは連絡が来るのを待つだけ」と、突き放すかのような態度をとったのも、その表れではないか。

 つまり「出ていくなら、どうぞ」という状態だったということらしい。

予想されていた第3の選択肢

 11月1日、囲み会見で山川は謝罪の言葉を述べている。去就に関しては、家族を含めて熟考中としていた。「残留するか、心機一転すべきか」、本当に悩んでいたようである。

 だが、球団にすれば、この煮えきらない態度に対して、「ライオンズファンの印象もよくなかった」という見方があり、山川と距離を取るようになったという。

「山川はとにかく練習態度はマジメです。だから当初、球団スタッフも関係各所に頭を下げてまわっていました。本人も球団が謝罪してまわっていることを聞かされていたと思います。ならば、新たに提示された条件は単年だったとはいえ、24年シーズンに好成績を残せば、大型契約を結び直せたのではないでしょうか」(前出・関係者)

 一方、山川がFA行使するかどうかで悩んでいた間、「残留、権利行使」の2択に加えて、“第3の選択肢”が関係者の間でささやかれていた。

 トレードである。山川がいったん、大幅減額の単年契約を受け入れ、同時に彼を戦力として求める球団がトレードを申し入れ、移籍するというシナリオだ。

 これは、21年シーズン途中に日本ハムから巨人へ移籍した中田翔(34)のケースを参考にしたものだという。中田の移籍はハムの栗山英樹監督(62=当時)と原辰徳前監督(65=同)による直接の電話会談で実現した。中田をこのまま終わらせたくないとする栗山氏の思い、トラブルを起こした選手であることを承知の上で獲得するという巨人の覚悟によって、無償トレードが成立した。

 この時と同じように、戦力として山川を必要とするチームと、西武球団の間で話がまとまるのではないか、というわけだ。

「年俸が大幅減額された後なら、他球団も山川を獲得しやすくなります。ですから、今回のFA行使は彼にとって得策とは言えません。山川はチームで3番手の高給取りです。『ランクA』となるので、獲得した球団は人的補償と西武での最終年俸の50%を払わなければならない。厳しい言いかたをすれば、獲得する側の球団は『山川の事件のために選手を移籍させた』との批判も出る可能性はある。受け入れるリスクは、中田のときの比ではありません」(前出・同)

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