90年代に大ブーム「ブルセラショップ」は下火も…女子高生の「制服」を“中国人女性”が買い求める意外な理由

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女子高校生の制服を買い求める人たち

 遡ること30~40年前、女子高校生が着用した制服や穿いた下着などを売りさばく場として「ブルセラショップ」の名前が広く知れ渡った。いまやこの言葉も死語になって久しい感がある。実際、細々と営業している一部の店舗を除くと、ほとんどが閉店してしまった。しかし、そういった“品物”の需要がなくなったわけではなく、パパ活を通じた直接取引や、ネット経由での匿名取引に形を変えて生き残っている。

 今でもフリマサイトやオークションサイトでは、人気の高校の制服が10万円、20万円といった高額で落札されている。そう聞くと、「どうせ、変態的な趣味をもっている人が買っているんだろう」と思うかもしれない。実際のところはどうなのだろう。自身も制服好きで、コレクターでもあるという男性A氏に話を聞いた。

「鉄道ファンが“乗り鉄”や“撮り鉄”と細分化されるように、制服好きも細分化されますが、大きく分けると2つのタイプがあります。制服から女子高校生を妄想したり、匂いなどに性的な興奮を覚えるタイプ。そして、制服のデザイン性の高さに惹かれるタイプです。ブルセラショップの利用者のイメージはどちらかといえば前者で、制服というよりは、女子高校生が好き。こういう人は、概して高価な制服を必要としないことが多いと思います。

 後者は、昔ながらの伝統校のクラシックなセーラー服や、バブル期に森英恵がデザインを手がけた高価な制服、キャメル色のブレザーなどの特徴ある制服を好みます。そして、制服を汚すことを好みません。学校の指定品の靴下やローファーには関心を示しますが、女子高校生が穿いた下着には興味を示さない。こうした感性の持ち主が、制服を10万円以上の高額で落札していくのです。興味の対象が“女子高校生”なのか、それとも“制服そのもの”なのかで、性格が異なるのです」

なぜ、中国人が制服を好むのか

 A氏によると、デザインに惹き込まれて制服コレクターとなった人の中には、中国人、しかも女性も少なくないという。これは近年の傾向といい、そういった中国マネーが流れ込んだことで一部の制服が高騰しているというのだ。なぜ、日本の制服が中国人に人気があるのか。

「ひとつの要因は、中国で日本のアニメーションの人気が高まっている点です。アニメに登場する日本的な制服が好まれ、コスプレブームが起きました。その流れで、アニメに登場する制服によく似た、実在する高校の制服にも人気に火が付き、複製品では満足できない本物志向の中国人が買い漁っていると考えられます。また、中国では日本のようにデザイン性の高い制服が少なく、一度は着てみたいという思いで買い求める女性が多いようです」

 Xで検索してみると、たしかに日本の制服を大量にコレクションしている中国人が目に付く。一着10万円をゆうに超える制服が何着もハンガーにかかった光景は、バブル期にブランド服を買い漁っていた日本人のクローゼットを彷彿とさせるものがある。コレクターの中には、ファッション感覚で制服を着用した写真を公開する女性もいる。いわゆる中古制服に対し、日本人が抱くイメージとはまったく別物だ。

 A氏によると、どんな高校の制服でも高くなるわけではないという。「あくまでも、デザイン性に優れた人気の制服が高価になり、ありふれた紺色のブレザーなどは値段がつきにくい。せいぜい数千円、1万円くらいでしょう。私立や公立の区分はあまり関係ありません。森英恵やコシノヒロコがデザインするなどして人気があれば、公立高校の制服でも高額になりますね」と話す。

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