天才・堀内恒夫がV9時代の日本シリーズ“奇策合戦”を明かす
奇策をやめた巨人
「でも巨人もさ、指揮官がそんな奇策に走ったから乱打戦になって、負けてしまいましたよ(結果は6対8)」
関本が苦笑する。2回まで待たされた高橋一は4回途中で降板。巨人は4本のホームランを打ちながら投手陣が12四死球を与える乱調で落とした。
面白いのは、その後の巨人と阪急の対応の違いだ。巨人は奇策をやめ、第3戦は当初の予定どおり関本を先発させて完投勝ち、第4戦は堀内が完投、第5戦は高橋一が完投と「王道」に戻って4勝1敗でV7を達成した。阪急は、第3戦もまた偵察メンバーを入れた。
改めてV9の戦歴を検証すると、知られざる勝負のあやがまだ隠されていた。
(敬称略)
[7/7ページ]