中日、肩を壊した“ドラ3”高卒ルーキーを「育成落ち」にして波紋呼ぶ…新人選手を守るためにやるべきことは何か

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ファンからは起用法に批判も

 日本シリーズが終わり、ストーブリーグに突入したプロ野球。各球団は、来季に向けての戦力補強や人員整理を行っているが、戦力外通告期間の最終日となる11月6日、野球ファンに波紋を起こすニュースが飛び込んできた。中日が、ドラフト3位ルーキーの森山暁生と来季の支配下契約を結ばないことを発表したのだ。【西尾典文/野球ライター】

 森山は、徳島県立の阿南光で2年夏にエースとして甲子園に出場。3年時には、四国ナンバーワン左腕として注目を集め、3位という高い評価でプロ入りを果たした。将来のローテーション候補として期待されていたが、シーズン序盤に左肩を故障してしまう。4月に早くも二軍で4試合に先発し、いずれも5イニング以上投げたことで、肩に大きな負担がかかったとみられ、ファンからは二軍首脳陣の起用法に対して厳しい批判が出ている。

 ただ、支配下のルーキーが翌年に育成契約になるケースは初めてではない。過去にも、堀田賢慎(巨人)や椋木蓮(オリックス)といういずれもドラフト1位で入団した投手が、ルーキーイヤーにトミー・ジョン手術を受けて、その年のオフに育成契約に切り替わっている。堀田は既に支配下登録され、昨年は一軍で勝利投手になっている。椋木もリハビリ期間を経て、10月16日に行われたフェニックスリーグのヤクルト戦で実戦復帰している。

 なぜ、プロ入り直後に、故障による長期離脱が起こるのだろうか。森山は前述した通り、4月からいきな先発で多くのイニングを投げた影響があった推察できるが、堀田は1月の新人合同自主トレで異常を訴えている。プロとアマチュアの選手を指導するベテラントレーナーに理由を聞いてみた。

球速が上がれば、体への負担も増す

「以前に比べて、投げ過ぎが原因で故障する投手は確実に減っています。ですが、それは公式戦での登板が減っているだけで、練習や練習試合を含めると、かなりの球数を投げている投手はまだまだ多いですね。プロが注目するような高校生や大学生投手の場合、強豪校から練習試合の申し込みが多く、そこで投げないわけにはいかないという話もよく聞きます。別の理由としては、速いボールを投げられる選手が増えたことが大きいと思います。速いボールを投げれば、それだけ体にかかる負担が大きい。そんなに多く試合で投げていないような投手が故障することも珍しくありません。プロに入る前に既に何かしらの故障を抱えている選手は多く、レベルの高い選手と対戦することになり、力を抜くことができずに、無理を重ねて怪我してしまう。こうしたパターンが多いのではないでしょうか」

 さらに、高校野球のある指導者は、以下のように指摘する。

「昔はいくら投げても、怪我をしなかった選手がいましたけれど、現在と比較して、投手の球速が遅く、打者のレベルが低かったからではないでしょうか。今は、球速も打者のレベルも向上していますから、投手にかかる負担は確実に大きくなっています」

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