レンズメーカー「タムロン」歴代2社長が巨額の私的流用 69歳「前社長」が海外出張にも同伴させた女性「S」の正体

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「呆れ果てて言葉を失う」

 特別調査委員会は小野氏に「自身が単独で利用した飲食店の費用やホステスとの同伴における費用を会社経費としてタムロンに負担させることができる理由」を質問したところ、以下のような回答だったという。

《社長業の重圧によるストレスを解消するためには、単独で飲みに行く、カラオケに行くなどしてストレスを発散する必要があった》

 ところが、小野氏は相談役になっても、経費の使い方は変わらなかった。これについても質問すると、以下のような回答だった。

《鯵坂氏による会社の経営に口出しをすることを我慢することよりに生ずるストレスを発散する必要があった》

 この小野氏の説明に、特別調査委員会は次のように批判した。

《役員であれ従業員であれ、およそ仕事というものは大なり小なりストレスを伴うものであり、そのストレスの発散は個々人の費用で賄うべきものであって、社長だから会社経費にできるというに及んでは開いた口が塞がらない。況や、社長退任後の後継社長による会社の経営に口出ししないことを我慢することにより生ずるストレスを発散する必要を理由とするなど呆れ果てて言葉を失う》

希望退職と豪遊

 報告書には《とどのつまり、ホステスと会社経費で楽しく飲みたい》というのが本音だったはず、という辛辣な指摘もある。膝を打つ人は多いに違いない。

 タムロンは2020年11月9日、「希望退職者の募集及び役員報酬の減額に関するお知らせ」というプレスリリースを発表した。

 もともとデジタルカメラ市場が縮小を続けていたところに、コロナ禍により急激な需要減が発生。このため青森県の弘前工場と浪岡工場で、45歳以上の正社員と準社員を対象に、200人の希望退職者を募集するという内容だ。

 退職者を募集するという経営責任を取るため、代表取締役と取締役の月額報酬の減額も発表された。

 希望退職者の募集が発表された2020年、鰺坂氏はクラブYを66回利用して750万円。ラウンジXは45回で790万円、Zは117回で330万円と、合計1870万円をつぎ込んでいる。希望退職に応じた社員が知ったら、どう思うだろうか。

デイリー新潮編集部

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