女子卓球「15歳の超新星」張本美和、「すでに五輪出場できるほどの実力」を支える“高難度サーブ”と“勉学優先”

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打倒中国の旗手となる可能性

 かつて日本のお家芸といわれた卓球の世界に超新星が現れた。

 15歳の張本美和、まだ中学3年生である。日本男子のエース張本智和(20)の妹だ。先のアジア競技大会で日本代表に抜擢されたばかりか、3名のレギュラー入りを果たし、女子団体戦の準決勝となった日韓戦では、貴重な勝ち点を挙げて決勝進出の立て役者に。続く卓球王国・中国との決勝でも世界ランク3位の王曼昱と互角の打ち合いを展開。惜しくも敗れはしたものの、一時はリードを奪うなどポテンシャルの高さをアピールした。

 現在急成長中の途上で、本格派のプレースタイルから、10代後半で世界のトッププレーヤーとなる可能性が高い。10月末現在、女子卓球の世界ランキング上位は、下記のように1位から3位までを中国勢が独占、トップ10にも6名がランキングされている。卓球王国といわれる所以だ。これらの選手の多くは10代後半で世界のトップに立ち、その力を長くキープしている。その意味で、張本美和がいまのペースで成長を続ければ世界のトップアスリートの地位をつかみ、打倒中国の旗手となる可能性が高い。

想像以上のポテンシャル

1位 孫穎莎(中国)
2位 陳夢(中国)
3位 王曼昱(中国)
4位 早田ひな(日本)
5位 王芸迪(中国)
6位 銭天一(中国)
7位 陳幸同(中国)
8位 申裕斌(韓国)
9位 ハン・イン(ドイツ)
10位 伊藤美誠(日本)

 張本の世界ランクは、アジア大会前まで17位の平野美宇の後塵を拝していたが、アジア大会の活躍もあり現在は、日本の黄金世代の一角・平野を追い越し14位に浮上、日本選手の中で3番目のランクにまで上ってきた。

 10月末から始まったWTTチャンピオンズフランクフルトでは、女子シングルス1回戦で張本が平野と激突。今後の女子卓球界を占う大事な一戦だったが、張本がゲームカウント3-1で平野を下した。

 張本美和の強さはどこにあるのか。それは、フォアハンドもバックハンドもバランスよく強く、攻めてもよし守ってもよし。さらに、相手の待っていないコースを突く卓球IQの高さも持ち合わせている。専門誌「卓球王国」編集部の柳澤太朗氏が解説する。

「フォアもバックも高い精度があり、クロスにもストレートにも攻撃ができる。これは中国選手に対しても非常に有効です。相手に強い攻撃をされてもコートから下がらず、自分のプレー領域である“前陣”を死守して戦うことができるのも強みですね。想像以上のポテンシャルがあると感じています」

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