「仮装は死者への礼儀に欠ける…」死者159人・梨泰院事故が「韓国のハロウィン」に落とす暗い影

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 あれから1年──。ハロウィンシーズンを迎えた10月29日と30日、現地を訪れた。仮装した若者はほとんどいない。犠牲者の思いは梨泰院の路地に漂っているかのようだった。

 1年前の10月29日、ソウルの梨泰院はコロナパンデミック以来、初めて自由なハロウィンイベントを迎えた。市内では外国人が最も多く訪れる場所であり、異国的な雰囲気で見どころも多く、韓国ハロウィンイベントの名所と呼ばれてきた。そのハミルトンホテル隣の狭い路地で、大勢の人々がドミノ倒しのようになり159人が死亡する事故が発生した。

 当時、警察当局はこの日に多くの人が梨泰院に来ると予想していたにもかかわらず、交通を整理するための警察官を十分に配置していなかった。これが事故の主な原因とされ、警察と自治体関係者は刑事裁判を受けている。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する世論の叱責も続いた。

 その梨泰院の路地を歩く。今年、若者はいない。とても楽しい気分でイベントを開いたりハロウィンを満喫したりすることはできなかったのだろう。

「仮装をするのは自由だが…」

 多くの死傷者を出した現地の人びとにしてみれば、「まだ1年」という思いのようだ。梨泰院駅近くの飲食店の店員はこういった。

「今年、仮装をするのは自由だが、事故で亡くなった方たちへの礼儀ではない気がする」

 30日午後の梨泰院は、今日がハロウィンデーという雰囲気がまったくないほどガラガラだった。目につくのはパトカーと、パトロールの要員だけ。1年前に死傷者が発生した路地には、メディア関係者や写真を撮りにきた人々が集まっていた。死者を追慕するポストイットが貼られていて、酒と飲み物、花束が置かれていた。

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