中国「李克強」前首相死去で完成した習近平「独裁体制」 死から発表まで「空白の8時間」に話し合われた謀議の中身

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そして「イエスマン」だけが残った

 中国では7月に秦剛・外相が、10月24日には李尚福・国防相が突如解任されるなど、不可解な更迭劇が続く。解任理由について政権側から正式な発表はないものの、習氏が「不要」と判断した部下を容赦なく切り、「独裁体制の強化が進んでいる」との声は絶えない。

「それだけでなく、昨年10月の中国共産党大会で一時期は“次の首相の大本命”と目されていた胡春華・副首相(当時)がヒラの中央委員に降格されました。胡氏は李氏と同じく、党員養成機関である共産主義青年団の幹部に選ばれてから輝かしい経歴を重ねたエリート中のエリートでした。李氏の退任や胡氏の降格によって、そうした党エリートが最高指導部から消え、代わって習氏が浙江省トップを務めていた時代の側近たちが脇を固めるようになりました。新しい指導体制のもと、中国が現在の難局をどう乗り切っていくのか――世界が固唾を飲んで注視しています」(田代氏)

 優秀な人材を排除し、“イエスマン”ばかりで周りを固め「政権基盤」は安定したかもしれないが、デフォルト(債務不履行)に陥った不動産大手「碧桂園」や米ニューヨークで連邦破産法を申請した恒大集団の例など、不動産バブルの崩壊を阻止する手立ても見失っているように見える現在の習近平政権。権力維持と引き換えに国力を低下させたとしたら、皮肉というほかない。

デイリー新潮編集部

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