小池百合子都知事が「知事選まで樹木を伐採しないで」 神宮外苑再開発への反発に、またも自己保身

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担当部局の“弁明”

 さる都政関係者が言う。

「イコモスのヘリテージ・アラートは国内で数例しかなく、まさに緊急声明。9月の見直し要請は事業者にとっては寝耳に水で、焦った都にハシゴを外された格好です。実は、小池知事は周囲に『(来年7月の)3期目の知事選が終わるまでは樹木は伐採しないように』と伝えている。結局は自身の都合を最優先しているのです」

 9月に事業者らへ要請した都の担当部局に尋ねると、

「(2月の)認可は、あくまで建築施工に対してのものです。建築には伐採が付随するというのは考え得ることですが、都としては再開発および事業の認可をしただけで、伐採を認めたという事実はありません」(都市整備局)

 また環境局も、

「都には伐採を中止できる強制力はなく、樹木保全を訴えるためにはこのように働きかけるしかありません。事業者への要請は今回で3度目になりますが、イコモスのヘリテージ・アラートは認識しておらず、図らずも同じタイミングとなってしまいました」

「表面的なごまかし」

 そう弁明するのだが、小池知事のかつての「同志」で、2017年の都議選後に袂を分かった上田令子都議は、

「たとえ事業者ではないとしても、都には計画を認可した責任があります。小池知事は築地市場移転の際にも『築地は守る、豊洲は生かす』と発言したものの、その約束を守れませんでした。今回の再開発についても事業者を責めるのではなく、まず自らの責任と向き合うべきです」

 都を相手取った認可取消訴訟の原告の一人であるロッシェル・カップ氏が言う。

「小池知事は、外苑についてこれほど反対の声が高まるとは想定していなかったのでしょう。グリーンビズなどと口にしているのも、知事選へのダメージを回避するためだと思われますが、そんな表面的なごまかしを世間は見抜いています」

 次はどんな変わり身を見せるのだろうか。

週刊新潮 2023年10月26日号掲載

ワイド特集「秋の夜長の『フォー・ルームス』」より

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