ウクライナのプラモデルメーカー「ICM」が伝える戦時下のリアル 日本代理店に送ったメッセージとは

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音信不通の日々

 プラモデルを製造するためには、実際の戦車や軍用機をもとに図面を作成し、金型を作る必要がある。日本のプラモデルメーカーなら自衛隊に協力を要請することは可能だが、旧ソ連やロシアの兵器を取材しようとしても実現は難しい。一方、ウクライナのメーカーにとっては容易であり、これが再現性の高い商品開発につながっている。

「2012年頃に弊社が代理店となる契約を結び、日本での販売を開始しました。もちろん大ヒットするような商品はありません。しかしプラモデルとしての質は高く、マニアックなファンには確実に届きました。ビジネスとして成立したので、ICMの皆さんも日本での好評を喜び、『いつか来日したいです』と言ってくれていたのです。ところが、2022年2月、ロシア軍がウクライナに侵攻し、状況は一変しました」(同・営業部)

 日本のテレビ局などがキーウ爆撃を速報すると、ICMとの連絡は途絶えてしまった。安否を確認するメールを送っても、文字通り音信不通だったという。

「本当に心配していたのですが、数週間後、やっと返信が届きました。『避難するのに必死で、仕事どころではない。このメールも防空壕で書いている』という内容でした。ロシア軍の侵攻が始まってから数カ月、商品の入荷は全くありませんでした。ところが幸運なことに、ICMさんの場合は本社や倉庫、工場が無傷だったのです。半年ぐらい経ってから商品が動き出し、今ではほぼ侵攻前の状態に戻っています」(同・営業部)

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