「旧統一教会」解散命令請求で浮上 関係当局も気を揉む「100億円資産」の行方

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 10月13日、文部科学省が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対する解散命令を東京地裁に請求したことで、焦点に急浮上しているのが、教団が所有する「莫大な資産」の行方だ。一説に「100億円を超える」とされる教団資産をめぐっては、すでに関係当局も交えたツバ迫り合いが起きているという。

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「宗教法人への死刑宣告」と呼ばれる解散命令が請求・受理されたことで、宗教法人格の“喪失危機”に直面する旧統一教会。宗教法人法に基づいて解散命令請求が行われたのは過去、「オウム真理教」と「明覚寺」の2例だが、いずれも教団幹部による殺人予備罪や詐欺罪など刑事事件での摘発が根拠となっていた。

 今回のように、民法上の不法行為を理由とした解散命令請求は初めてとなるが、文科省は請求に必要な「組織性、悪質性、継続性」の3要件を満たしていると話す。

「旧統一教会による、相手の自由意思を制限した長年にわたる不法な献金勧誘によって、多数の方々が多額の損害を被っていることが調査で明らかになった」(同省宗務課)

 一方の教団側も声明で「裁判において、私たちの法的な主張を行っていく」と“徹底抗戦”の構えを見せ、今後の審理が平坦でないことを予想する声も上がっている。実際、「請求から解散命令が確定するまでオウム真理教で7カ月、明覚寺で3年を要した」(同)といい、政府は教団側の控訴も視野に法廷闘争に臨む姿勢だ。

オウムでも横行した「資産隠し」

 仮に解散命令が確定すると、裁判所が選任した清算人が教団の債権・債務の整理を行うことになるが、こちらも簡単な作業にはならないという。

「教団が全国に所有する不動産の総資産価値は“100億円を超える”との推計があり、また日本から本部のある韓国への送金額は年間200億円近くにのぼると伝えられます。しかし宗教法人法には請求対象に対する財産保全の規定などはないため、新たに法的措置を講じないと、解散が確定するまでの間に教団による“資産隠し”も可能となりかねない」(全国紙社会部記者)

 この点に関して、実は関係当局も対策に頭を痛めているという。

「解散命令が請求されて以降、オウム真理教が所有していた不動産を急いで売り払ったという“前例”がある。ただ当時、オウムが所有していた施設などは山奥や僻地にあるものが多く、ほとんどが二束三文で買い叩かれた。それでも教団の資産が散逸したのは事実で、旧統一教会でも同様の事態が起こりかねないと注視しているところだ。問題は、解散命令確定前に韓国への送金、さらには教団関係者や脱会した信者が所有不動産を買い取るといった偽装工作を防ぐのが現状では難しい点にある」(警視庁関係者)

 教団による“資産隠し”が焦点となっているのは、被害者への弁済に充てられるべき原資の枯渇を招く可能性があるためだ。

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