阪神優勝の「おこぼれ収益」を雨で失ったヤクルト 阪神ファンの心境は?

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 繁忙期には高値、閑散期には安値――というのは、航空やホテルなど旅行業界では常識。プロ野球でも、例えば巨人戦など需要が見込める試合のチケット料金を高くすることがある。

 2017年の楽天を皮切りに導入が進む「ダイナミックプライシング」は、実際の需要と供給に応じて価格が刻々と変動するシステムだ。ヤクルトは22年から導入を始めた。

 9月22日、23日に神宮球場で行われた対阪神2連戦チケットは価格が暴騰した。普段なら2千円そこそこで買える外野席が1万円近くまで跳ね上がったのだ。

「原因はもちろん、阪神の“アレ”でした」

 とスポーツライターが苦笑する。

「8月下旬、阪神にマジックが点灯。1日1ずつ減る計算だと、この2連戦が“Xデー”にあたるため、阪神ファンが殺到したのです」

 チケットはみるみる高騰し、9月2日に完売した。

 ところが、である。阪神は破竹の勢いで、14日に優勝を決めてしまった。つまり、神宮の2連戦は消化試合と化したのだ。高値でチケットを購入してしまったファンは、当てが外れて、うれしさ半分哀しさ半分の心境か。一方、試合を主催するヤクルト球団は、連覇を逸したとはいえ、思わぬ臨時収入にホクホクだったに違いない。

ヤクルトはぬか喜び、阪神ファンは安堵

 さて、22日の試合当日。

 なんとこの日は雨だった。

 主催者は、18時の試合開始を30分遅らせて雨がやむのを待ったが、雨脚は勢いを増すばかり。あえなく中止が決まり、チケットは払い戻しとなったのである。

 ヤクルトはぬか喜び。逆に、消化試合に大枚はたいた格好の阪神ファンご一行は、出資が戻って胸をなで下ろしたことだろう。

 人々を一喜一憂させたこの試合は、10月4日に振り替えが決まった。もはや高騰はしないと思うのだが、さる在京阪神ファンいわく、

「優勝が早過ぎてグッズ製作が間に合わず、23日の試合までに買えませんでした。4日は、ビールかけで使われた優勝記念Tシャツを着て応援したいですね」

“18年ぶりV”の熱気はまだ冷めそうにない。

週刊新潮 2023年10月5日号掲載

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