裏報酬で「お金の入った封筒を渡された」 土屋品子復興相の疑惑を元選挙スタッフが証言

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選挙運動費用収支報告書を見ると…

 今回の改造内閣で初入閣となった土屋品子復興相(71)。「週刊新潮」9月28日号は、土屋大臣と親密すぎる政策担当秘書との関係を報じたが、さらに重大な疑惑が明らかになった。選挙スタッフに対して、公選法に抵触する“裏報酬”を渡していたというのだ。

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 土屋大臣が8期目の当選を果たした2021年に提出された選挙運動費用収支報告書を閲覧し、選挙スタッフへの報酬をチェックすると、多くの人がボランティアで参加したことがわかる。例えば、Aさんというスタッフには報告書上、選挙運動という区分で2千円の「労務報酬」が支出されている一方で、収入の部ではAさんが寄付という形で同額を納めており、備考には「労務無償提供」とある。このような会計処理を行っているスタッフが60人以上も確認でき、そのスタッフはウグイス嬢のような車上運動員ではなく、事務所などで単純作業を行う「労務者」とみられる。

 ベテラン秘書が解説する。

「労務者にも報酬は払えますが、帳簿上、収入と支出の額を一致させて、プラスマイナスゼロにし、選挙運動費用収支報告書に記載しているのでしょう。つまり、ボランティアです」

「“ご協力ありがとうございました”と、封筒を渡され…」

 ところが、報告書のボランティアスタッフを訪ね、取材を重ねていくと、「報酬をもらった」という人物が複数確認できたのだ。

 例えば、春日部市に居住し、先の衆院選でボランティアとして従事した女性スタッフはこう証言する。

「2年前の選挙中に1度だけ、ボランティアのつもりで私は伺いました。ただ、その時に秘書の方から、“ご協力ありがとうございました”と、封筒を渡されたんです。金額ははっきりと覚えていないんですが、1万円にいかないくらいの額だったと記憶しています。私は“結構です”と申し上げたのに、“そういう意味じゃありませんから”と言われまして……。領収書を切ったかは覚えていません」

 また別のスタッフも、

「土屋さんの自宅の敷地内には2階建てのプレハブ小屋が立っており、選挙期間中はそこが事務所になって、行ける時にお手伝いに行っています。お客様にお茶出しをしたり、受付に立ったり、などですね。お手伝いに行くと、いくらかの手当を頂きます。手伝う時間によって金額も変わってきますよ」

 報告書を確認すると、このいずれの選挙スタッフに対しても、報酬を支出したという記述は見当たらない。

「買収」になり得るケース

 逆にこの“裏報酬”を断る選挙スタッフもいた。

「事務所で仕事をした時、封筒で報酬を渡されたけど、ボランティアで少ししか手伝っていないので、中身を見ずに、お返ししました」(別の春日部市在住の女性スタッフ)

 似たような例として思い出されるのが、19年、菅義偉内閣で大臣に抜てきされながら、「政治とカネ」の問題で辞任した河井克行元法相のケースだ。妻の河井案里元参院議員が参院選に立候補した際、法定上限を超える報酬をウグイス嬢に支払い、他にも県議らに買収を目的に多額の現金を渡していた。

 夫妻が東京地検特捜部に公職選挙法違反で逮捕され、有罪判決を受けたのは記憶に新しい。今回は労務者に“裏報酬”が支払われているわけだが、「買収」にもなり得るケースである。

 埼玉県選挙管理委員会によれば、

「労務者は公選法上、基本日額が1万円以内で超過勤務手当が基本日額の5割以内という定めがあります。一般論として、基本日額を超えた高額な報酬になると買収に当たる可能性はあります。また、報酬について、本来記載すべきものが報告書にない場合、虚偽記載で公選法に抵触する恐れがあります」

 本誌(「週刊新潮」)に証言したスタッフは「働いた時間によって金額が変わった」と話している。つまり、法定の報酬上限を超えたことは容易に想像でき、そうでなくとも、虚偽記載で公選法違反となる。

 疑惑に土屋事務所はどう答えるか。

「労務者に対して、封筒に入った金銭を報酬として渡した事実はありません」

 だが、選挙運動費用収支報告書に記載されていない金銭を渡したことが明白なのは先の証言の通りだ。9月28日発売の「週刊新潮」では、土屋家で家政婦に従事しながら、兼職届が未提出になっている公設第一秘書の問題などと併せて詳報する。

週刊新潮 2023年10月5日号掲載

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