食と健康のプロ「漢方薬剤師」が、たとえ栄養が偏っても「ラーメン禁止」とは言わない深い理由

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 まもなく10月を迎えようとしているのに、最高気温は30度前後のまま――。長引く残暑を乗り切るため、前編に引き続き、“美しすぎる漢方薬剤師”の「愛先生」こと大久保愛さん(37)におススメの食事法を紹介して頂く。(前後編のうち「後編」)

質的栄養失調

 夏といえばビアガーデン。酒との付き合い方で注意すべき点は?

「アルコールを体内で分解する際にビタミンB群が消耗されます。体内のエネルギー代謝を促すのがビタミンB群なので、それが枯渇してしまうと疲れやすくなるのです。口内炎ができやすい人がいますが、これもお酒などで胃腸に負担がかかっていることが影響している可能性があります。夏場にビールをたくさん飲んだ後は、〆のラーメンではなく、糖質過多にならないみそ汁がおススメです。インスタントのシジミ汁を買って飲むと肝臓にも優しいので効果的です」

 飲み会のあと、どうしても〆にラーメンを食べたくなるのは人情だけれど……。

「七大栄養素といわれるタンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、フィトケミカルのうち、ラーメンでは主に糖質と脂質しか摂取できません。糖質と脂質ばかりを摂取すると短期的には元気に見えるのですが、長期的には“質的栄養失調”になりかねない。カロリーは足りているものの、栄養が偏り、全体としては欠乏してしまっている状態です。さらに、ビタミンB群は糖質の代謝にも必要な成分。それが消耗すると、さらに腸内環境が荒れ、免疫も低下することになるのです」

セカンドミール効果

 一方で、お酒を飲む際に推奨できるのは、はこんな“おつまみ”だという。

「お酒を飲んだときに有効なのは、硫黄を含む栄養素です。タコやイカに含まれるタウリン、ブロッコリースプラウトに入っているスルフォラファン、にんにくやネギに含まれるアリシンなどがあり、いずれも肝臓の働きを助けてくれます。それらをお酒のつまみに組み込むのは理に適っていますね。あとは、ターメリック。ターメリックの主成分はクルクミンで、口内炎などの炎症を抑える作用があるため、クリニックでの栄養療法にも使われています」

 最近は中高年層でも、スーパーではなくコンビニで食材を購入する人は多い。コンビニではどんな食材を購入すべきか。

「コンビニで買える食品だと、サバ缶はオメガ3脂肪酸のDHAが入っていていいですね。あと、最近はレトルトパックやおにぎりとして購入できる“もち麦ごはん”もアリでしょう。サバ缶にお酢を入れ、ミョウガとか紫蘇を混ぜて、そのままもち麦ご飯にかけてもおいしく頂けます。もち麦ご飯は“セカンドミール効果”がある優れモノで、食事した際の血糖値を抑えるのにプラスして、次の食事の血糖値まで抑えてくれる。晩に脂質・糖質たっぷりのピザやパスタを食べる外食の予定があれば、昼ご飯にもち麦を食べておくと効果的です」

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