「時給にしたら500円」「骨折してもそのまま運転」 低賃金、過労死ワーストのトラックドライバー、現場からの悲痛な叫び「僕たちの存在を感じてほしい」

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 メディアで取り上げられる頻度が増えてきた「物流2024年問題」。物流の35%が滞るという危機ばかり喧伝されるが、その裏には、運送現場の過酷な労働状況がある。元トラックドライバーのライター、橋本愛喜さんが集めたドライバーたちの本音に耳を傾けよう。

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「24時間戦えますか」――。

 1990年前後に日本のテレビCMで繰り返し流れていた某栄養ドリンクの有名なキャッチコピーだ。スーツ姿の男性たちが徹夜をも厭わず働こうとする当時のサラリーマン像を描写したCMだが、そんな問いかけに、当時「はい、戦えます」と、過酷な現場に自ら足を踏み入れた作業服姿の人たちがいた。

「トラックドライバー」だ。

 某大手運送企業のトラックドライバーの場合、「3年走れば家が建ち、5年走れば墓が立つ」と言われていた時代。年収が1千万円を超えるケースも珍しくなく、当時のトラックドライバー職は「ブルーカラーの花形」とも言われていた。「墓が立つ」というぐらいだ、現場はそれほど過酷ではあったが、それでも「走れば走った分だけ稼げる現場」には、さまざまな夢を抱えた多くのドライバーが人生を背負って走る姿があった。

「夢はもうとっくに諦めた」

 今、その現場が一変している。

「開業資金をためるためにトラックに乗り始めました。労働時間が長くても稼げるならとやってきたが、規制や現場に合わないルールが次々できたせいで、開業資金どころか生活水準が保てなくなる状態。夢はもうとっくに諦めました」(40代、中長距離、精密機械)

「自分が走り始めたころの先輩たちには、家を建て、高級車に乗っていた人が少なくありませんでした。今では考えられない。走り始めた当初の給料とほとんど変わらないのに、現場で指示される仕事はどんどん細かくなり、量も増えています」(50代、長距離、雑貨)

 今年に入り、連日各メディアで物流の「2024年問題」が報じられている。

 2019年にほとんどの職種に施行されている「働き方改革関連法」だが、トラックドライバーには5年間猶予が与えられていた。そのタイムリミットが来年4月に迫り、施行後はドライバーの時間外労働が年間960時間に制限される。

 すべての国民、すべての産業が何らかの形でサービスを享受している物流という社会インフラ。その第一線で荷物を運ぶトラックドライバーの労働時間の短縮は、社会に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 日本のシンクタンク、野村総合研究所も今年1月「何もしなければ2030年には2015年比で約35%の荷物が運べなくなる懸念がある」という試算を発表。メディアがこぞって報じ始めたのもそのころからだ。

 具体的には何が起こるのか。

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