失策11個はリーグワースト…それでも日ハムファンは「三塁手・清宮幸太郎」のポンポン姿を待ちわびている

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「三塁手」として定着

 最下位脱出に成功したかと思えば、その後も、勝ったり負けたりを繰り返す――新庄剛志監督(51)と北海道日本ハムファイターズのことだ。しかし、若い選手たちは着実に力をつけており、チームの中心となる選手も見つかったようである。

「9月5日から5連戦が予定されていましたが、5日と6日は雨天中止に。8日からの西武3連戦は全勝しないとAクラス争いには残れません。ラストチャンスでしょう。そのせいか、日本ハムナインの士気は高まっていました」(スポーツ紙記者)

 前向きにさせるところが新庄イズムなのだろう。ラストチャンスの3連戦では、加藤貴之(34)、コディ・ポンセ(29)、上沢直之(29)、伊藤大海(26)、上原健太(29)の投手陣に加え、打撃陣のキーマンは4番の万波中正(23)だけではない。「三塁手」として定着しつつある清宮幸太郎(24)だ。

「新庄監督は監督に就任するとき、清宮と吉田輝星(22)を頼むと、フロントから言われています。全国区のビッグネームが少ないチームです。ともにドラフト1位、甲子園ヒーローであり、『将来のチームの看板選手に』と今も位置づけられています」(前出・同)

 最下位脱出の立役者は、清宮だった。去る8月27日の埼玉西武戦、「3番・三塁」でスタメン出場した清宮は第一打席でソロホームランを放つと、その日は5打数3安打2打点と爆発した。しかも、8回にまわってきた最終打席で三塁打を放っていれば、史上72人目 のサイクル安打が達成されていた。

 興味深いのは、試合後の清宮自身と新庄監督のコメントだ。清宮は「もう少し欲を出せば良かった」とアッサリしていたが、新庄監督は「シングル(ヒット)が残っていたら、セーフティー(のサイン)を出したね」と笑わせながらも、自分のことのように悔しがっていた。

「清宮に対しては厳しいことも言いますが、本心では可愛いヤツと思っているのでしょう。新庄監督が野球人として好きなタイプは、足が速くて肩の強いクラッチヒッターです。現チームだと、五十幡亮汰(24)や万波でしょう。タイプの異なる清宮を気に掛けているということは、本当に期待しているからです」(前出・同)

 見方を変えれば、清宮にも「なんとかしてやりたい」と思わせる魅力があるのだろう。

一番、打球が飛ばないポジション

 また、清宮といえば、今季はすっかり三塁手として定着しつつあるが、これも新庄マジックの一環のようだ。

「就任当初から温めていたとも聞いています」(チーム関係者)

 清宮の守備力は「ヘタではないが、巧くない」(同)といったレベル。股関節が柔らかいため、定位置の一塁を守っているときは相撲の股割りのように足を広げて捕球してくれることもあるが、「守備」で勝利に貢献した話は聞かれなかった。

 しかし、4月9日のオリックス戦から一転して「三塁」で起用されることのほうが多くなった。これまで三塁を守ってきた野村 佑希(23)の打撃不振もあったが、理由はそれだけではない。開幕直後、新庄監督が球団スタッフにこう問い掛けたそうだ。

「一番、ボール(打球)が飛ばないポジションってどこだろう?」

 問い掛けられたスタッフが答えられずにいると、「調べておいて」と“宿題”にした。

「ここ数年の打球の方向、各ポジションの野手が処理した打球の数をカウントしたら、意外な結果が分かったんです。打球がいちばん飛ばないポジションはサードでした」(前出・同)

 右投げ左打ちの選手が増えたからだろうか。その結果を聞いた新庄監督は、「じゃあ、決まりだね」と言って、清宮の三塁コンバートを決めた。そして、森本稀哲コーチ(42)にも、野村に外野守備の練習をするよう指示し、今日に至ったのが真相だ。

 たしかに、日本ハムが最下位脱出に成功した8月27日のデータを見てみると、三塁手・清宮が処理した打球は2つだけ。両方とも、ファールフライだった。

「夏場以降、野村が試合前に森本コーチとマンツーマンで外野の守備練習をしているのをよく見掛けます。真後ろに行く打球を追うのは、外野手でプロ入りした選手もミスをすることがあります。そのあたりが課題らしく、後方に下がるフライボ-ルの追い掛け方を森本コーチが教えていました」(北海道メディア関係者)

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