「日本語はいつも間違えていますが…」バスケ・ホーバス監督が語った金言 渡邊雄太、比江島慎の知られざる素顔とは?

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 開幕前の静けさが一転、あの人気マンガを彷彿とさせる試合展開と劇的勝利で日本中が熱狂の渦に包まれた。沖縄で行われたW杯で来年のパリ五輪出場を決めたバスケ日本代表だ。彼らが勝てたのはなぜなのか。テレビには映らない新たなヒーローたちの実像に迫る。

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 先頃、映画化され国内興行収入157億円の大ヒットとなったマンガ「スラムダンク」のハイライトは映画でも描かれた“絶対王者”たる山王工業高校との一戦だろう。

 主人公・桜木花道が所属する湘北高校がインターハイに初出場し、2回戦で高校ナンバーワンと謳われた山王と対戦。高校バスケット界のスター選手を擁する山王に力の差をまざまざと見せつけられた湘北は、試合中、幾度も20点差近く離されながら、個性豊かなメンバーの活躍で鮮やかな逆転劇を演じる――。

 沖縄で行われたバスケW杯での日本代表の戦いは、マンガを読んで育った選手たちがそのストーリーを再現しているかのようだった。

 日本代表は8月25日の初戦のドイツ戦は敗れたものの、2戦目のフィンランド戦は18点差をひっくり返し、98―88で勝利。順位決定ラウンドに回った後のベネズエラ戦でも一時15点差あった劣勢を第4Qで一気に逆転した。さらに、最終戦のカーボベルデ戦も制し、48年ぶりに自力で五輪出場を決めたのだった。

なぜ若い才能を発掘できた?

 日替わりで新しいヒーローが生まれたのも今大会の特徴だった。現役NBAプレーヤーでチームの大黒柱・渡邊雄太(28)のほか、スピードを武器にニュースターとなった河村勇輝と高い3Pシュートの精度を誇る富永啓生の22歳コンビや今年2月に帰化したばかりのジョシュ・ホーキンソン(28)、長く代表を支えたベテランの比江島慎(33)……。

「勝てたのは若い才能を発掘したトム・ホーバス監督の功績です」

 とは、沖縄を拠点にバスケを取材するライターの長嶺真輝氏。

「ホーバス監督は河村選手や富永選手を含め、多くの若い選手に声をかけ、そこからも積極的に起用する形でチームを作っていきました。Bリーグで出場時間の少ない選手でも理想のバスケにマッチするなら登用し、その結果とてもいいチームを作ることができたのです」

 一昨年の東京五輪で女子チームを銀メダル獲得へと導き、今大会で男子を率いたホーバス監督については、

「面白いのは会見でBリーグへの要求も避けないところ。川真田紘也選手や吉井裕鷹選手がBリーグで出場時間が少ないことに触れ、“試合に出ないともったいないから、チームがもうちょっと考えてほしい”と話していました。一方でアフロヘアーの記者に対し“髪の毛すごいね、うらやましいです”と言う茶目っ気もありました」(同)

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