手に入りやすくなった若返りサプリ「NMN」の選び方は? 老化研究の世界的権威が「健康寿命が延びる可能性が高いとみている」

ドクター新潮 ライフ

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 健康寿命が延びる可能性があるサプリ「NMN」の“価格破壊”が起こり、数年前の約10分の1程度の価格で手に入るようになってきているという。そこで、NMN研究の第一人者であり、ワシントン大学医学部教授である今井眞一郎氏に、サプリの選び方などについて聞いた。

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「NMNを摂取することによって、人間の健康寿命が延伸する可能性は大きい、と私はみています」

 そう話すのは、NMN研究の第一人者で老化研究の世界的権威、ワシントン大学医学部教授の今井眞一郎氏である。

 若返り物質といわれるNMNの正式名称は「ニコチンアミド・モノヌクレオチド」。体内でビタミンB3から作られる物質で、ブロッコリーなどの食品にも含まれているが、ごく微量。効果を体感できる量のNMNを摂取するには、すでに市販されているサプリに頼るしかない。

体内時計を正確に保つのが重要

 NMNを摂取すると、体内でNAD(ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド)と呼ばれる物質に変わることが分かっている。

「あらゆる生物はNADを、各臓器がエネルギーを使う時に必要な通貨のようなものとして利用しています。中でも、老化・寿命制御に関わるサーチュインの一つ、“SIRT1(サーティワン)”は、NADを使うことで、脳にある視床下部の神経細胞を活性化し、全身のさまざまな機能を回復させることが分かっています」

 今井氏はそう解説する。

「ただし、そのNADは年齢と共に減少していきます。そこで、NMNを摂取してNADの量を増やしてやると、さまざまな機能が回復してくる。それが、NADブースターと呼ばれるようになった方法論です」

 NADの合成はサーカディアンリズム、つまり体内時計と深く関係しており、

「マウスは夜行性なので夜、ヒトは昼行性なので昼、活動期にNADが上がるようになっています。そのリズムを正確に保つことがとても重要です。また、NMNを摂取するなら、NADが高い時間帯に合わせて飲む方がいいです」(同)

 サーカディアンリズムの乱れ以外にも、NADを減らす要因となっているものがある。それが、

「慢性炎症です。慢性炎症を起こす細胞はいくつか知られていますが、免疫を司る細胞もその一つ。また、老化細胞と呼ばれるものも慢性炎症に寄与しています。この慢性炎症こそが老化の重要な原因になっている。それが老化研究の分野では共通の認識になってきています」(同)

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