「これは侮辱でありいじめ」…香港出身のスター歌手が残した衝撃告白 中国の人気オーディション番組を放送中止に追い込んだ深刻トラブルとは

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不倫疑惑の夫に対する批判が…状況を一転させた流出音声

「歌手として28年やってきたのに、ステージ上で侮辱を受けました。これは侮辱でありいじめです!」

 8月17日、ネット上に流出した香港の女性歌手、ココ・リー(李玟)さんの音声は、中華圏のエンタメファンに大きな衝撃を与えた。ココさんが自らこの世を去った約1カ月半後の出来事である。

「高い歌唱力と巧みなダンスが持ち味のココさんは、誰もが認めるチャイニーズ・ポップス界の大スターです。1994年のデビュー時からヒットに恵まれ、2000年には映画『グリーン・デスティニー』の主題歌で国際的な知名度も頂点に。歌手としての実力はもちろん、明るく気さくな素顔も魅力の1つだっただけに、自ら死を選んだ事実は非常に衝撃的でした。家族の発表によると、ここ数年はうつ病を患っていたそうです」(香港メディアの関係者、以下同)

 ショックを受けた一部のファンが怒りを向けたのは、以前から不倫疑惑が報じられていたココさんの夫だ。結婚生活が暗礁に乗り上げたためうつ病を患ったなどとする報道も相次ぎ、ココさんの葬儀が執り行われた7月末までに夫への批判は最高潮に達した。だが、8月に流出したココさんの音声で、結婚生活とは無関係の深刻トラブルが発覚する。

「流出したココさんの音声は、中国の音楽オーディション番組『中国好声音(SING! CHINA)』に出演した際のトラブルを涙ながらに訴える内容でした。番組側から受けた嫌がらせも明らかにしており、『ステージ上で侮辱を受けた』と訴えるココさんの声は、聞いていると胸が苦しくなるほどです」

収録中に不公平を訴えて口論に

「中国好声音」は海外の音楽オーディション番組「ザ・ヴォイス」の中国版で、毎年高視聴率を記録する大人気番組。「審査員兼コーチ」のプロ歌手たちが、素人参加者たちを「生徒」として自身のチームに引き入れ、アドバイスを与えながらチーム内バトルを進めるという構成だ。毎年1シーズンが約3カ月にわたって放送され、ココさんは代打講師として2022年度の第8週から出演した。

「この際にココさんは、番組の採点システムが不公平であることに気づき、収録中に番組側と口論になりました。観客がその様子を撮影した動画は昨年に流出しましたが、今回流出したココさんの音声は口論の詳細を明らかにしています。番組側はココさんにステージから去ることを要求し、従わなければ警備員を呼ぶと発言したそうです」

 ココさんが不公平を指摘したことで、ココさんに対する番組側の嫌がらせが始まったとみられている。ココさんがもっとも傷ついた嫌がらせは、冒頭の「ステージ上で侮辱を受けた」発言につながる“転倒事件”だった。

 ココさんは生まれつきの障害と長年の芸能活動で脚を痛めており、「中国好声音」の出演時は単独での歩行が困難だった。決勝戦で生徒とデュエットを披露する際は、その生徒が支えとして隣に立つよう手配していたという。だが、なぜか番組側が生徒を遠く離れた位置に立たせたため、ココさんは歌っている最中に転倒し、ステージに膝をつく格好になってしまった。

「この様子は実際に放送され、現在もネット上で視聴可能です。最初はココさんの全身が映っていますが、転倒したと思われる後は胸元から上のカットに変わっています。しかし驚くことに、それでもココさんは懸命に歌い上げたのです」

 一部メディアによると、ネット上にはココさんに駆け寄ろうとした共演者の女性歌手が誰かに止められたという説があり、さらに番組スタッフは動こうとする気配がなかったという。また、最初の口論でココさんの腕を掴んだ女性が番組のプロデューサーであり、“転倒事件”を引き起こした人物だとする暴露投稿も現れた。長時間の収録で飲まず食わずだったココさんが食べ物を口にすると、番組側から叱責されたという証言もある。

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