どんどん使用期限が延びるコロナワクチン 推進派の苦しい設定変更の数々(中川淳一郎)

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 生ものなどには消費期限がありますが、その期限がどんどん延びるという珍しいものもあります。ファイザーの新型コロナワクチンです。接種が開始された2021年2月は6カ月でしたが、以後→9カ月→12カ月→15カ月→18カ月に。23年6月29日には24カ月になりました。「安全性のテストをした結果そうなった」と言うでしょうが、コレ、食べ物だったら謝罪・回収・返金騒ぎになりませんかね。知り合いの看護師からは「薬は有効期限が1日でも過ぎたら廃棄」と聞きました。

 あと、初回・2回目接種の人向けのメッセージがバンバン変わってくる。厚労省は昨年10月「年内までしか武漢株対応型は打てません」と言った。要するに「オミクロン株対応を打ちたければあと2カ月しかないからさっさと打て」と脅してきたのです。どうぞどうぞ、私はそんなこと言われても打ちません、あ~あ、スッキリした。あと2カ月でコロナワクチンと金輪際縁が切れるのネ。晴れ晴れとした気持ちだ~と正月を迎えたら、その後いつしか「1、2回目の武漢株対応は2024年3月31日まで打てます」と変わっていた!

 さらに8月、「1回目の人もオミクロン株対応を打てるようになります」と言い出した! 「最新の研究の結果」とは便利な言い分ですが、疑問を抱くと「素人は黙ってろ!」と医者やワクチン大好き一般人からツイッター(X)で怒られる。

 21年6月30日の日経電子版の記事には、このワクチンの免疫反応は従来型より長期間活発に続き、「実際にどのくらいの期間、コロナワクチンの予防効果が持続するかは現時点で不明だが、数年から生涯にわたる可能性も指摘されている」との記述がありました。これを受け、医者連中は「終生免疫の可能性、すげー! ワクチンは神!」と大はしゃぎ。しかし今、6回目やってますね。

 また、初期の頃、ワクチンには「感染予防効果」「発症予防効果」があると言っていたのですが、接種後とてつもなく陽性者が増え、22年、日本は実数で世界一の陽性者数を17週間記録。感染予防効果をドヤ顔で言えなくなると、「ワクチンの効果は重症予防効果と最初から言っていた」と医者は歴史を改ざんしてくる。死者数は21年1月1日に累計3513人、22年1月1日は1万8385人、23年1月1日は5万7519人、5類化前日の5月7日は7万4654人。ワクチン接種後に激増しています。「死亡予防効果」は特に喧伝されていないため「重症化しないで死ぬ」ってことか?

 こうしてワクチン推進派が苦しい設定変更を言い続ける中、厚労省はQ&Aコーナーで23年7月1日「新型コロナウイルス感染症の発症を予防する高い効果があり、また、感染や重症化を予防する効果も確認されています」と説明。まだ「感染予防効果」を言い続け、岸田首相の6回目接種を報告した官邸はツイッターで「皆さまや身近な人を守るため、ワクチン接種のご協力をお願いします」とのメッセージを発表。

 重症予防効果ってことに変えたんじゃねーのかよ!状態ですが、壮大なる「厚労省&医者の詭弁・屁理屈力上達訓練」にわれわれ国民は3年半巻き込まれ続けたのでした。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2023年9月7日号掲載

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