夏の甲子園優勝 慶応高の実態は「お金持ちの野球エリート」 特待生制度がなく、「3年間300万円超」の“高額学費”で進学を諦める有望選手も

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中学時代から評判だった選手が入学

 慶応高(神奈川)の107年ぶりの優勝で幕を閉じた夏の甲子園。決勝の相手が夏連覇を狙った仙台育英(宮城)ということもあり、甲子園球場はコロナ禍以降で最高と言える盛り上がりを見せた。三塁側アルプスだけでなく、内野席、外野席にも慶応を応援するOBや関係者が詰めかけて、テレビのワイドショーでも慶応優勝の話題は連日取り上げられている。過熱する報道もあって、慶応優勝に対しては、さまざまな声が聞かれるが、なかには“実態”からかけ離れたものも少なくない。【西尾典文/野球ライター】

 その最たるものといえば、決勝を戦った両チームのイメージだろう。仙台育英は、前年度優勝校ということもあって、全国から優秀な選手を集めた野球エリート集団で、一方の慶応高は“文武両道”の伝統校で、学業も優秀な“普通の高校生”が勉強の傍らに野球に取り組んでいるというものだ。

 しかし、このイメージは事実と大きく異なっている。まず、野球エリートということに関して言えば、慶応高は全国でもトップクラスと言えるほど、中学時代に評判だった選手が入学している。

 エースの小宅雅己と、中軸を打つ加藤右悟(いずれも2年)は、ともに栃木の「県央宇都宮ボーイズ」で全国大会優勝の経験を持つ。また、ファーストの延末藍太、サードの福井直睦、控え投手の松井喜一、元西武、巨人などで活躍した清原和博の次男として注目を集めた清原勝児らベンチ入りメンバーのうち5人は、全国屈指の強豪チームである「世田谷西リトルシニア」出身である。

 ちなみに、「世田谷西リトルシニア」は、今年のリトルシニア日本選手権と、中学硬式4連盟(リトルシニア、ボーイズ、ヤング、ポニー)の頂点を決める「ジャイアンツカップ」の二冠に輝いている。

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