「日韓ドラマの一番の違いは脚本への熱量」 マンガ家・東村アキコが語る「原作者なのに軽く説教される」

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韓ドラおたくの間で「一番の傑作」とされる作品は?

 私はメジャーな動画配信サイトの韓国ドラマはほぼ全て観ています。数あるおすすめの中で特に私が推したいのは、韓ドラおたくの間で「今までの韓ドラで一番の傑作」と言われている「ミセン―未生―」。総合商社に契約社員として入社した主人公が働くだけのドラマですが、驚愕(きょうがく)の面白さ。ちょっと信じられないくらい面白い。

 設定も展開も、ひたすら地味です。「接待が大変だ」とか「部署間のちょっとしたもめ事」とか……。そういった地味な、一般社会でもよくある話の連続なはずなのに、脚本が天才的でめっぽう面白いのです。

 韓国のドラマは最高、日本のドラマはダメ、ということが言いたいのではありません。例えば、かつて韓国では日本のドラマ「101回目のプロポーズ」が大流行しました。韓国のドラマ界には、「101回目」を観てドラマ制作の道を志した人も多いのです。そういう相互作用で日韓が切磋琢磨していけたらいいな、と思っています。

東村アキコ(ひがしむらあきこ)
マンガ家。1975年、宮崎県生まれ。2007~2011年連載の『ママはテンパリスト』(集英社)でブレーク、『海月姫(くらげひめ)』(講談社)で2010年度講談社漫画賞少女部門受賞。他の代表作に『主に泣いてます』『メロポンだし!』(ともに講談社)、『かくかくしかじか』(集英社)などがある。

週刊新潮 2023年8月17・24日号掲載

特別読物「なぜ溺れるのか 『表現のプロ』が感嘆する『韓流ドラマ』の魅惑力」より

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