鈴木亜美も手伝っている「ベルマーク集め」 現場の親はウンザリ説

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 41歳となった彼女がいまや3児の母であること、PTA活動をやっていることに感慨を覚えた同世代の人は少なくないだろう。

 一方で、記事のタイトルにある「PTA活動でベルマーク」というあたりに「むむむ」と反応した方もいるようだ。記事のコメント欄を見ると、「ベルマークはやらなくても……」と違和感をつづっているものもある。

 かつてはどの学校でもおなじみだった「ベルマーク」活動なのだが、実はなかなか微妙な立ち位置になって久しいようなのだ。『PTA不要論』などの著書があるノンフィクション作家、黒川祥子氏の体験をもとに見てみよう。

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 小学生の子を持つ、ある母親から「ベルマークって、ご存知ですか?」と、切り出された時、黒川氏は「まだやっているの?」と驚いたそうだ。

「私が小学生だった大昔、確かにベルマークのついた商品を買って、マークを集めて、学校に持って行ったことを思い出します。でも、今や平成の世も終わろうとしているのに、それが続いていること自体に、まず驚きました」(黒川氏)

 ベルマークとは、協賛企業の商品パッケージなどについている、小さなマーク。それを集めてベルマーク財団に送ると、1点につき、1.27円の「市場調査費」が協賛企業から支払われ、このうち1円分がPTAなど参加団体の預金口座に入り、その学校の設備が購入できる「教育設備助成費」になる。残りは財団の運営費にあてられる。

 黒川氏に訴えた母親は、さらに続けた。

「切り取った1~2センチの、薄い小さなベルマークを回収して、会社ごとに分類。それをさらに点数計算してと、ものすごく煩雑な作業を、平日の昼間に、PTAのベルマーク委員になった母親たちが集まって延々とやるんです。エアコンの風やくしゃみで飛ばないよう、空調を切って、マスクをつけて作業にあたる人もいます」

「あまりにバカバカしい」と、その母親が訴えるのも、無理はない。100円の商品についているベルマークは、おおよそ1点。せいぜいが4~5点で、1点未満のものも多くあり、いわば1円前後を、延々と切り貼りする作業になるのだという。

「30人で作業して数千円。パートの時給を寄付した方がまし」「私たち母親はメーカーなどにうまく利用されているのでは?」と、あちこちで評判の悪いベルマーク。黒川氏に訴えた母親も、あまりの不合理さに、PTA本部役員や会長に見直しを提案したそう。

「協賛企業もどんどん少なくなってきている。それに学校に寄付するために選べる商品は限られていて、本当に必要な物があるとは限らない。価格も高いのか安いのか、正直判然としないそうです。しかもPTA会費は余っていて、毎年繰り越しているのだとか。そもそも学校にだって予算があるはずで、何らかの理由があって、学校に予算がつかず、買えないものがあるとしたらですが、余ってるPTA会費から購入して寄付すればいい。なのに、本部役員や会長は首を縦に振らなかったそうです。理由は『子どものためだから』」(黒川氏)

 その母親は自嘲気味に「計算したらパートの賃金どころか、最低賃金以下でした。袋貼りやシール貼りといった内職の方が、よっぽど高給でしょうね。働いているPTA役員も多いですから、そうした方々の時給を計算に入れたら、あきらかにマイナスでしょう」と語っていたという。

 もちろん金銭に換算できない意味もあるのかもしれない。親たちが一緒に作業をすること自体に意義があるという意見もあるのだろう。

 が、多くの家庭が共働きで、休暇を取るのもままならない中で、効率を度外視してまで継承する作業なのか、疑問を感じる人が多いのもまた事実のようである。

『PTA不要論』(新潮新書)から一部を引用、再構成。

デイリー新潮編集部

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