刑期を終えて、神戸山口組の副組長宅に車両特攻の元半グレ有名組員が出所 「意外と大きなダメージを与えた」という評価が

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半グレから6代目側へ

 昨年5月、当時、神戸山口組の副組長だった入江禎2代目宅見組組長の自宅(大阪府豊中市)に“車両特攻”の実行犯が刑期を終えて出所した。この人物は、対立する6代目山口組傘下のA組員。大阪の悪名高い半グレから6代目の中核組織に転じたという経歴の持ち主で、一種の“有名人”だった。入江組長側の被害は木製の門戸が破壊されたといった物損のみで、罪としても重くないから短い刑期で出所できたのだろうが、その特攻は内輪では高く評価されているというのだ。なぜか。

 昨年5月に車両特攻したA組員は、6代目山口組・3代目弘道会・10代目稲葉地一家傘下・8代目伊藤忠に所属している。

「A組員は大阪の半グレ集団アビスのリーダーの兄にあたる人物です。その兄弟はかなり有名な存在でした」(同)

 ここ最近は半グレでいた方が厄介な上下関係に左右されず、反社条項にもひっかからず得策だという考え方がある中で、大阪の有名な半グレだったA組員が、名古屋を地盤とする稲葉地一家傘下に入ったことは当時、注目を集めた。

野内組、3代目高山組と共に

「稲葉地一家は元々、山口組と抗争を繰り広げてきましたが、今や野内組、3代目高山組と共に6代目山口組・3代目弘道会内で、存在感をひときわ強めています。収益をあげられる縄張りを持っていて、これまで以上に人・モノ・カネをしっかりと掴んでいますね。当代の松山猛総裁は3代目弘道会の統括委員長をしており、先代の中村英昭総裁は、高山清司若頭と5分の盃を交わしています。力のある半グレさえも引きつける点について、捜査当局も警戒を強めていると聞いています」

 と、元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は、暴力団組員の更生を支援するNPO法人「五仁會」を主宰)。

 Aが実行犯となったことにも、アビス人脈が関係しているのだという。

「去年の特攻は、実は別の元アビスの人間が担う予定だったところ、その人間が阪神高速を走行中に警察に追いかけられてクルマがひっくり返るほどの事故を起こしたとのこと。それでA組員にお鉢が回ってきたようです」(同)

検察の求刑は4年だった

 A組員はその後、起訴され、昨年12月に懲役1年の実刑判決を受けた。

 当初は住居侵入、建造物損壊、脅迫の3つの罪状に問われていたが、成立したのは住居侵入罪のみ。建造物損壊については特攻を受けた門扉は建物との一体性がない、脅迫罪についても、漠然とした不安感を抱かせるという領域に留まるとして検察の主張を退けた格好だ。

「近年ヤクザの犯罪には裁判所は厳しい判断を下す傾向にありますが、4年を求刑した検察側の主張は、少し前のめりと言うか、若干乱暴な印象を受けました。案の定そこを裁判所に突かれたというところではないでしょうか。まぁ被害者の側もヤクザ、しかも組織中枢ということもありますが。被告は犯行時に執行猶予期間中だったのですが、そうでなければ実刑すらなかった可能性がありますね」

 と、社会部デスク。

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