タフィ・ローズ、NPB史上最多14回も退場処分を受けた球史に残る“暴れん坊”

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「世界の王」と並ぶシーズン55本塁打

 リクエスト制導入後、退場シーンもあまり見られなくなった昨今だが、かつては判定をめぐるトラブルなどから何度も退場になった猛者もいた。中でもNPB史上最多の14回の退場処分を受けたタフィ・ローズは、今もファンの記憶に残る“超個性派助っ人”である。【久保田龍雄/ライター】

 1996年に来日し、近鉄、巨人、オリックスの3球団で、計13年間プレーしたローズは、2001年に王貞治(巨人)と並ぶ55本塁打を放つなど、外国人歴代トップの通算464本塁打を記録。焼き鳥を好んで食べ、お気に入りの「よっしゃー!」をはじめ、関西弁を操る親日家ながら、その一方で、審判への暴言などで退場になることもしばしばあった。

 近鉄時代の1997年4月19日の西武戦、同点の4回無死一塁、フルカウントから西口文也の内角低めをストライクと判定されると、ローズは何事か叫びながら中村稔球審に詰め寄り、「私に向かって最高の侮辱的言葉を吐いた」(中村球審)として、退場をコールされた。怒りの形相でベンチに引き揚げたローズは、バットでベンチ裏の床を何度も叩き、鉄製ドアをへこますなど、大荒れに荒れた。

 翌98年7月1日の日本ハム戦でも、9回にストライク判定に不満を爆発させたローズは、山村達也球審に暴言を吐き、退場になる。「“ファック”と言われた。1、4回にもストライクの判定に不満そうだった。9回は文句を言ったので退場にした」(山村球審)。さらにローズが山村球審の胸を小突いたことから、1試合出場停止処分も受けた。

“1試合で2度退場”

 オープン戦でまさかの退場になったこともある。

 2002年3月12日の日本ハム戦の2回、フルカウントから関根裕之の外角球を丹波幸一球審にストライクと判定されたローズは、思わず「ブル・シット(クソ野郎)!」と吐き捨てた。

 だが、米国の審判学校で学び、通訳経験もある丹波球審は、英語のスラングも理解できたので、即座に退場を言い渡した。同年の開幕後、4月30日の西武戦では、“1試合で2度退場”の騒ぎを起こした。

 5回2死、カウント1-2から許銘傑の内角高めを自信たっぷりに見送ったローズだったが、山本隆造球審の判定は「ストライク!」。

 直後、ローズは激しく抗議して退場を宣告される。「内容は言えませんが、英語で汚い言葉を使いました」という山本球審に対し、ローズは「“ファッキン・ボール”(クソボール)と言ったんだ。審判を侮辱したんじゃない」と不満をあらわにした。

 そして、9回に“第2ラウンド”が勃発する。三塁側カメラマン席にローズが現れ、中村稔三塁塁審にヤジを飛ばしたのだ。山本球審が「退場になった選手がグラウンドから見えるところにいてはいけない」と再度ローズを退場させる珍事となり、本来なら制裁金10万円程度で済むところを、倍額の20万円を科せられた。

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