「東芝」バラバラ解体ショーで終幕か 「戦犯」に翻弄され非上場化を選んだ名門企業の今後

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アクティビスト退治の切り札

 迷走の果てに終幕を迎える「東芝劇場」。その一部始終は、「戦犯」の存在抜きには語れない。なにより、第一の戦犯は経産省である。M&Aアナリストが前回(「週刊新潮」2023年8月3日号「MONEY」欄)からの解説を続ける。

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「経産省の水野弘道参与(当時)が“米ハーバード大学基金”に圧力をかけ、2020年7月開催の株主総会における議決権行使を見送らせました。クビのかかった車谷暢昭元社長への助太刀が目的でした。経産省は組織ぐるみでアクティビスト対策に介入していたわけです」

 だがそれは、東芝のコーポレートガバナンス不全をあからさまにし、逆にアクティビストにつけ入る隙を与える結果となった。

 続く、第二の戦犯は車谷元社長。車谷元社長は経産省からアクティビスト退治の切り札として送り込まれたはずが、公私混同が問題視され、アクティビスト対策にも失敗。より一層対決姿勢を深める結果を招いた。

 車谷元社長は、窮余の一策として英投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」による東芝のTOB(株式公開買い付け)を打ち出した。非上場化によって、対立するアクティビストとの決着を図ろうとしたのだ。

「とはいえ、利己主義的に東芝を“身売り”する姿勢は批判を浴び、結局、事実上のクビに。反面、車谷元社長の奸計は、東芝が“売り物”であることを世間に知らしめた。以後、アクティビストが要求する株主還元策の第一候補は非上場化に傾きました」

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