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国際通貨システムに対しても発言権を高めるBRICS

 ウクライナ戦争の勃発後、国際社会でグローバルサウスの存在感が高まっている。

 グローバルサウスにはっきりとした定義はないが、NHKの解説では「冷戦時代に『第三世界』と呼ばれていた東南アジアやアフリカ、中南米などの新興国や途上国を指すのが一般的」とされている。代表的な国としては北半球ならインドやサウジアラビア、南半球ならブラジルや南アフリカなどが挙げられる。

 グローバルサウスの人口は2050年に全世界人口の3分の2を占めるとの試算もあるが、内政が安定していない国が多いことから、グローバルサウス全体が発展する可能性は未知数だ。そのなかで、BRICSは「勝ち組」グループとして脚光を浴びている。

 BRICSとは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカのことだ。この5カ国は21世紀に入り、広い国土と多くの人口、豊かな天然資源を武器に急成長を遂げ、実質国内総生産(GDP)は今や世界の4分の1を占めている。

 世界経済で脱ドル化の流れが生じている中、BRICSの動向に関心が集まっている。

 BRICS首脳の中で最も積極的に発言しているのはブラジルのルラ大統領だ。ルラ氏は8月2日、「米ドル依存から脱却するため、BRICS諸国は共通通貨の開発を検討すべきだ」と改めて強調した。

 今年8月22日から24日にかけて、南アフリカでBRICS首脳会議が開催される。今回の会議で重大決定がなされることはないとの見方が一般的だが、経済規模を拡大し続けるBRICSが今後、国際通貨システムに対して発言権を高めていくことは間違いないだろう。

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