「中日」「ヤクルト」は二軍の投手陣が壊滅的…本当に将来がヤバすぎる球団名

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スカウトと現場のコミュニケーションの問題

 特に、セ・リーグ2位のチーム防御率を誇る中日は、この数年で新たに一軍の先発ローテーションに定着した若手は高橋宏斗のみで、ベテランに対する依存度が高い。二軍の投手陣がこのような状態では、今後、主力投手の流出や衰えが出てきた時に、さらに苦しくなる可能性は高いだろう。

 前出の編成担当者が指摘するには、プロ入り後にパフォーマンスを落とす選手が出ることの原因は一つではないとのことだが、それでも考えられる問題点は以下のようなことがあるそうだ。

「よくあるのは編成やスカウトと現場のコミュニケーションの問題ですね。スカウト側が評価した部分が上手く現場に伝わっておらず、短所ばかりに目が行って、長所が消えてしまうということはよくあります。キャンプなどではもちろんいろいろと伝えているとは思いますが、それ以降は現場の判断になりますからね。せっかく獲得した選手が伸びないと、『スカウトは現場に潰された』と感じるし、逆に現場からすると、『よい選手を獲得していない』となります。ヤクルトと中日がどうかは分かりませんが、選手がプロで躓く原因としてはよくあることだと思います」(前出の編成担当者)

 少し前の話だが、2014年にドラフト1位で中日に入団した野村亮介は、プロ入り直後のキャンプでフォームについて指摘が入り、それが原因で調子を落としたと言われている。野村は一軍で1勝も挙げられず、2017年シーズン限りで、戦力外通告を受けた。二軍で停滞する選手の背景には、こういったミスコミュニケーションがあると言えそうだ。

一軍は好調でも二軍は“危険な状態”にある球団

 ヤクルトと中日は一軍、二軍ともに低迷しているが、一軍は好調でも二軍は“危険な状態”にある球団もある。それが、パ・リーグで首位争いを展開するロッテだ。

 チームの成績は、イースタン・リーグ(7チームで構成)の6位で、最下位ヤクルトとゲーム差は0.5差。育成ドラフト出身で、3年目の山本大斗がリーグ2位タイの9本塁打を放つなど、長距離砲として期待されているほか、2年目の松川虎生も捕手として経験を積んでいる。ただし、成績の上位者を見ると、平沢大河や福田秀平、菅野剛士といった中堅やベテランの選手が占めており、なかなか将来の中軸が見えてこない。

 投手陣も、本前郁也や佐々木千隼、佐藤奨真ら、一軍でなかなか続けて結果を残せなかった中堅が中心で、二軍の成績もパッとしない。投打とも全体的に若手の層の薄さは否めない状況だ。

 一軍では佐々木朗希が圧倒的な投球を見せているため、一見、若手が充実しているように見える。その佐々木が将来的にメジャー移籍となれば、一気にチームの投手力が弱体化することも十分に考えられるだろう。早いうちから将来への備えは必要となりそうだ。

 普段、二軍のチーム状況や戦力分析は、なかなか話題になることは少ないが、二軍が正常に機能しているかどうかという点にもぜひ注目してもらいたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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