高校野球の「誤審騒動」で過剰なバッシング 現役審判は「このままでは成り手が減っていく」と大会運営に危機感

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「疑惑の判定」直後の逆転劇

 夏の甲子園を懸けた大一番で起きた“ある問題”が物議を醸している。7月26日に行われた神奈川大会決勝、横浜対慶応戦で誤審が疑われるプレーがあったのだ。【西尾典文/野球ライター】

 横浜が2点をリードした9回表、ワンアウト一塁でそれは起こった。セカンド正面の打球を処理して二塁に送球し、ショートがそれを捕球してファーストに転送するいわゆる「4-6-3」のプレーで、一塁走者はフォースアウトかと思われたが、二塁塁審はショートの足がセカンドベースに触れていないと判断し、セーフと判定。直後に慶応の3番打者が逆転スリーランを放ち、試合はそのまま6対5で慶応が勝利し、甲子園出場を決めた。

 試合後に横浜を指揮する村田浩明監督は「ちょっと信じられない」と、この判定に対して納得がいかないとコメント。ネット上でもこの判定に対して多くの意見が巻き起こる大騒動となり、メジャーリーグやプロ野球で行っているビデオ判定を高校野球でも導入すべきという意見が続出した。

 高校野球における“誤審騒動”は珍しいことではなく、過去にも明らかに誤った判定をくだしたケースは少なくない。古い話では、1980年夏の埼玉大会決勝、熊谷商対川口工戦で、一塁走者の盗塁に対して遊撃手が完全に落球していたにもかかわらず、二塁塁審がアウトと判定し、これをきっかけにラフプレーや観客からの暴言が多発する大荒れの試合となっている。

 また、昨年の選抜高校野球では、敦賀気比対広陵戦でこんなケースがあった。4回裏、広陵の攻撃。フェアだったバントの打球に対して二塁塁審が誤ってファウルと判定。それを見た一塁走者が走塁をストップしてアウトとなってしまう事態が起こった。これに対しては、審判が協議の末に誤審と認め、判定を撤回するというシーンがあった。これらは明らかな誤審であり、1980年夏の埼玉大会決勝は、ビデオ判定を導入していれば、判定が覆ったことは間違いないだろう。

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