花巻東・佐々木麟太郎だけではない…IWATEがドミニカ、ベネズエラ並みにメジャースカウトから注目されているのはなぜか

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 超高校級スラッガー・佐々木麟太郎(3年=花巻東)が今夏の甲子園大会予選・岩手県大会に初登場した7月13日の盛岡市立校との試合に、日米10球団のスカウトが訪れたという。

「20人くらいがネット裏にいたと聞いていますが、実際はもっといたと思います。夏の大会中だけ、サポート契約したスタッフも一般入場料を払って観戦していましたし、単独行動を徹底するスカウトもいるので」(ア・リーグ中部地区スカウト)

 岩手県高野連は18日の悪天候を見越して、3回戦以降の試合の日程を一日ずつ遅らせた。今後、日程はさらに変更となる可能性もある。しかし、米スカウトたちは「こちらが滞在日程を変えればいいだけのこと」と、平然と答えていた。

 一口に米スカウトといっても様々な形態がある。米国籍の正規スカウトもいれば、日本国内で雇用した日本人のメジャースカウトも多い。また、「パートタイムスカウト」と呼ばれている期間契約者もいる。お目当ての選手に近い地元関係者に要請することもあれば、将来MLB球団で働きたいと思っているアナリストや、野球経験者たちが担当しているという。

 そんな米スカウトたちの今夏の岩手県入りの目的は、同時点で高校通算140本塁打を放っている佐々木麟太郎だが、大船渡高校には背番号1、千葉ロッテ・佐々木朗希の弟・伶希(3年)もいる。佐々木麟太郎が決勝戦に駒を進められなくても「最後まで見届けたい」と話す米スカウトも少なくなかった。

 彼らの熱意が届いたのか、7月20日に行われた水沢商との3回戦では背中の張りでベンチスタートとなった佐々木麟太郎が同点の延長10回、無死一、二塁の好機で代打登場した。空振り三振だったが、タイブレークとなった11回、勝ち越しのホームを踏んでいる。途中出場でも勝利に絡んでくるところに、米スカウトたちも“持ってるヤツ”と思ったはずだ。

「試合を観るだけがスカウトの仕事ではありません。普段の練習態度、練習試合もできる限り追い掛けています。佐々木麟太郎クンも興味深い逸材ですが、岩手県の高校野球をもっと知りたいと思っています。なぜ、立て続けにこんなに凄い選手を輩出したのか、秘訣でもあるんじゃないかって」(前出・同)

 大谷翔平(29=エンゼルス)は岩手県奥州市の出身で、菊池雄星(32=ブルージェイズ)の実家は盛岡市内にある。“ネクストチャレンジャー”の佐々木朗希は、陸前高田市の生まれだ。また、2019年ドラフト会議で巨人に1位指名された堀田賢慎(22)も高校は青森山田だが、花巻市の出身だ。

「メジャーリーグでは少し前まで、好選手を見つける国といえば、ドミニカ共和国やベネズエラ(・ボリバル共和国)などが有名でした。もちろん、今も中南米から好選手は出ていますが、ここにIWATEとコロンビアが加わりました。コロンビア国内にMLB各球団が野球アカデミーを設立したためです。コロンビアの野球人口も少しではありますが増えており、いずれはトッププロスペクト(若手有望株)も多く輩出されると期待されています」(米国人ライター)

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