フジテレビは開局65周年なのに「深刻で緊急事態ともいえる状況」 宮内会長も危機感を募らせる“低視聴率の実態”

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

視聴率とCM売上高はほぼ一致する

 2022年度の年間個人視聴率とCM売上高を見てみたい。民放界の現状が浮かび上がる。個人視聴率と売上高はほとんど一致する。

 なお、エビデンスも示さず、「今はTVerが中心の時代」とする向きもあるが、その売上高はCMとは比べものにならない。各局のTVerなどの売上高はCMの約50~30分の1に過ぎない。TVerは認知率(15~69歳)すら今年1月段階でまだ68.5%(マクロミル調べ)。「TVerが中心の時代」とするのはプロパガンダに過ぎない。現段階でテレビ局の大黒柱はあくまで電波なのだ。

【個人視聴率・全日帯:午前6時~深夜0時】
1 日本テレビ 3.6%
1 テレビ朝日 3.6%
3 TBS    2.8%
4 フジテレビ 2.4%

【個人視聴率・プライム帯:午後7時~同11時】
1 テレビ朝日 5.6%
2 日本テレビ 5.4%
3 TBS    4.2%
4 フジテレビ 3.8%

【CM売上高】
1 日本テレビ 2369億800万円
2 テレビ朝日 1791億4100万円
3 TBS    1628億8500万円
4 フジテレビ 1603億8000万円

 個人視聴率で日テレより優勢のテレ朝が、なぜCM売上高では大きく下回っているかというと、コアは日テレが断トツであるため。コアは行動が活発な世代であることから、スポンサーが歓迎する。

 コアの数字も見てみたい。

【コア視聴率・全日帯】
1 日本テレビ 2.9%
2 フジテレビ 1.8%
3 TBS    1.6%
4 テレビ朝日 1.4%

【コア視聴率・プライム帯】
1 日本テレビ 4.7%
2 TBS    3.1%
3 フジテレビ 3.0%
4 テレビ朝日 2.8%

 個人で上位に水を空けられたフジがCM売上高で差を詰められたのはコアが2位だったから。コアが下がると、きつくなる。だが、今年度に入ってからはTBSがコアを伸ばしている。今年4月のプライム帯のコアは、日テレ4.3%、TBS 3.3%、フジ3.0%、テレ朝2.1%だった。

 最後になるが、フジに限ったことでなく、話題の番組や魅力的な番組をいくつも制作したら、その局は必ず浮上するはず。ところが最近は番組づくりよりTVerや番組などの話題づくり、イメージ戦略が先行している局が目立つのではないか。

 局の幹部の中には「情報操作をしている局がある」と指摘する人までいる。具体的な例まで示された。まさかと思う。もし、それが事実となったら、報道機関による風説の流布となり、その局も関係者も壊滅的打撃を受ける。日本テレビの社員が行った2002年の「日テレ視聴率買収事件」以上の事態になる恐れがある。

 そんな疑念の声が上がるのも話題づくり、イメージ戦略が先行しているからだろう。観る側がテレビに望むのは面白い番組だけだ。

鈴木文彦

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。