フジテレビは開局65周年なのに「深刻で緊急事態ともいえる状況」 宮内会長も危機感を募らせる“低視聴率の実態”

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「ぽかぽか」が全体の足を引っ張る

 2時間やっている「ぽかぽか」のような大型の帯番組に勢いがないと、後に続く番組にも悪影響が出る。テレビ界の常識だ。日中は特にそう。チャンネルを積極的に替えない視聴者が多いからである。

 「ぽかぽか」の放送終了後に始まるドラマの再放送「+ストリーム!」の第1部(月~金曜午後1時50分)「離婚弁護士」は、7月18日放送の視聴率が個人0.8%(世帯1.6%)。一方、テレビ朝日「シッコウ!!犬と私と執行官」は個人1.3%(世帯2.8%)。やはり厳しい。

「オールナイトフジ」(1983年)のコンセプトを採り入れ、4月にスタートさせた「オールナイトフジコ」(金曜深夜0時55分)の7月14日の視聴率は個人0.7%(世帯1.4%)。深夜で2時間と長い番組なので、他局との単純比較は難しいが、横並びで2、3位といったところ。こちらは、まずまず。

 苦戦中なのが4月30日に鳴り物入りで始まった「まつもtoなかい」(日曜午後9時)。元SMAPの香取慎吾(46)がゲスト出演し、同・MCの中居正広(50)と6年ぶりに再会した初回は個人7%(世帯10.5%)と高視聴率だった。同じ日、個人7.8%(世帯13.1%)だったTBS「ラストマン―全盲の捜査官―」(同)の第2話よりコア視聴率は上だった。

 しかし、その後は急失速。6月11日放送は個人2.7%(世帯4.4%)と落ち込み、テレビ東京「家、ついて行ってイイですか?」(同)の個人3.3%(世帯5.4%)を下回り、横並びで最下位に。柄本明(74)、古田新太(54)たちがゲスト出演した7月9日放送も個人3.0%(世帯4.9%)。16日放送の総集編は個人2.9%(世帯4.9%)だった。

 ドラマにも1980~90年代を思わせる作品がある。7月10日に始まった森七菜(21)と間宮祥太郎(30)がダブル主演する「真夏のシンデレラ」(月曜午後9時)。東京のエリート顔をした若い男性たちと神奈川県・江ノ島で地道な暮らしを送る女性たちが恋をする。全編からバブル期とあのころの海の匂いがする。

 初回の視聴率は個人4.0%(世帯6.9%)。総個人視聴率(PUT=その時間帯にテレビを観ている人の割合)がこの10年で約6、7%落ちているので、古い作品と視聴率を比べるのは無謀極まりないが、前々作「女神の教室~リーガル青春白書~」の初回は個人6.4%(世帯10.5%)、前作「風間公親-教場0-」(月曜午後9時)は同じく個人7.2%(世帯12.1%)だったから、見劣りする。17日放送の第2話は個人3.2%(世帯5.4%)とさらに落ちた。

 この作品のメインターゲットであるはずの今の若者はバブル期、バブル崩壊直後の若者と比べ、はるかに勉強し、働き、アルバイトをすることを迫られている。バブル期の価値観が採り入れられたと思しき作品をどう受け止めるのだろう。

 フジの蹉跌の理由について、芸能プロダクションや制作会社はさまざまな分析をしている。共通するのは次のような言葉だ。

「フジは時代をつくり続けた。あるいはつくろうとしてきた。今はそうではないのではないか」

 確かに、真っ昼間にお笑い芸人が勢ぞろいした「笑ってる場合ですよ!」(1980年)とそれに続く「いいとも」は斬新だった。女子大生を前面に押し出した「オールナイトフジ」も他局には真似できそうにない遊び心満載の番組だった。トレンディドラマもある種の発明と言って良かった。

 やることなすこと新しかった。だから若い視聴者が飛びついた。今はどうだろう。

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