蛭子さんは15分遅刻、マドンナのブドウ狩り事件…16年前に放送、初の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」を振り返る

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 テレビ東京系の人気シリーズ「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」の新シリーズがついに放送される。その名も「ローカル路線バス乗り継ぎの旅W」(7月22日夜6時30分)、で「W」は「ウーマン」の意味だ。旅人はフリーアナウンサーの赤江珠緒と女優の三船美佳、「ももいろクローバーZ」の高城れにの女性3人が起用された。

 路線バスだけを乗り継ぎ、3泊4日でゴールを目指すルールは前シリーズと同じだ。振り返れば、オリジナルシリーズの第1弾が放送されたのは2007年10月。当時は、いったいどのような旅だったのか。

シリーズ最初の“宿交渉”担当はマドンナだった

 第1弾の番組タイトルは「にっぽん列島横断! ローカル路線バス乗り継ぎの旅」だった。まず驚くべき点は、ナレーターが番組ファンにはお馴染みのキートン山田ではなかったことだ。キートンの担当は第2弾からで(現在は津田健次郎)、初回は今や他局の路線バス旅番組のナレーターを務める生野文治だった。

 最初の旅は、東京湾から富山湾を目指すというテーマである。このときの旅人は、リーダーの太川陽介とマドンナの中島史恵、蛭子能収の3人だ。スタート地点は横浜駅西口バスターミナルだが、番組のオープニングをよく見ると蛭子の姿がない。なんと蛭子は寝坊のため、15分遅刻してしまったのだ。波乱の幕開けだが、これは今後のバス旅シリーズが“トラブルとアクシデントだらけ”になることを予感させる出来事でもあった。

 番組史上記念すべき1本目の乗車バスは、神奈川中央バスが運行する6時30分発の大和市鶴間行きとなった。3人は鶴間駅(神奈川県大和市)東口で乗り換え、西へと順調に進み、三ケ木(神奈川県相模原市)に到着する。お昼どきだったため、バス旅シリーズ初の昼食タイムはバス停の近くのそば店となった。

 次に3人は、月夜野(山梨県南都留郡)に到着する(バス旅といえば、車内でよく寝るのが蛭子の“お約束”となっているが、その1発目がこの区間である)。だが、次のバスまで3時間弱の待ち時間が生じ、3人は仕方なくキャンプ場への立ち寄りを決めた。とはいえ、観光客も体験できる自家製まんじゅう作りや川釣りを目いっぱい楽しんでいる。

 次に乗車したバスは月夜野から長又(山梨県南都留郡)行きだったが、長又には宿がないため、途中の道志村(同県同郡)での宿泊が決まった。ここでの注目は、泊まれるかどうかをお願いする“宿交渉”である。ある時期から蛭子の担当で固定されるが、第1弾の初日は「3人の中で一番年齢が若い」という理由で中島が担当した。なんと、最初の担当はマドンナだったのだ。しかも、後に1人1部屋が基本となるが、このときの太川と蛭子は相部屋。今となっては考えられない状況であった。

3人が貸し切り風呂で“混浴”するという珍しい展開も

 2日目は富士吉田駅(山梨県富士吉田市)を経由して甲府駅(甲府市)に向かった。しかし、その途中で今ではありえない行動に出た人物がいる。マドンナの中島だ。車窓から見た「ぶどう狩り」の看板に惹かれた中島は、「あっ、ちょっと降りようよ」と衝動的に降車ボタンを押すと、「今日は距離稼ぐんだよ!」と制止する太川を振り切って勝手に途中下車してしまった。

 結果、中島は蛭子とぶどう狩りを楽しんだが、現在のバス旅シリーズで観光出来るのはバスの待ち時間だけだ。中島の気まぐれな行動は、今のバス旅しか知らないファンからするとかなりインパクトが強いだろう。

 この「ぶどう狩り事件」の直後、またも予期せぬ出来事が起こる。先に1人で甲府駅に向かっていた太川は、甲府から南アルプスの北沢峠(南アルプス市と長野県伊那市の境)へ行くバスが、台風による土砂崩れのため運休になっていることを知るのだ。

 太川はぶどう狩りを終えた2人と甲府駅で合流する。目的地までの距離はおよそ50キロあり、時間と体力的にとても歩ける距離ではない。話し合った結果、タクシーの利用を決断し、仙流荘(伊那市)から旅を再開した。この日の宿泊は高遠(同)だった。

 3日目はまず、高遠から辰野町(上伊那郡)へ向かったが、辰野駅前で約3時間もの待ち時間が発生した。そこで3人は、町をめぐる太川と中島、駅前の旅館で昼寝タイムの蛭子に分かれた。

 やがて町営バスで信濃川島駅(同)へ向かうが、そこから約12キロ先の塩尻駅(塩尻市)まではバス路線がないという事態に直面してしまう。前日のタクシー利用は“不測の事態”によるものという意味合いなのか、ここで3人はシリーズ初となる徒歩を選択した。

 だが、徒歩移動中に昼食で立ち寄った食堂のオーナーが、塩尻駅まで車で送ってくれたため、歩いた距離は結局4キロだった。“他人のご厚意”による車移動は、これだけ番組が浸透している今となってはほぼないと言っていい。出演者と出会った人たちの多くは、バス路線がない区間が徒歩になることを知っているからだ。まだ番組の知名度がなかった初期だからこそのエピソードと言えるだろう。

 塩尻駅に到着した3人は、松本駅(松本市)を経由して飛騨高山方面(岐阜県高山市)を目指したが、日暮れを迎えたため、途中の平湯温泉(同)で一泊する。ここでバス旅初の宿交渉を担当した蛭子は、男女合わせて16もの露天風呂を有する温泉宿を見事ゲットした。

 そして、3人が仲良く貸し切り風呂で“混浴”するという珍しい展開も生まれる。これ以降、バス旅オリジナルシリーズで3人の混浴に挑戦したマドンナは、第23弾(宮崎・青島~長崎・グラバー邸)のはいだしょうこのみである。

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