電気代は高い、熱中症も心配…暑すぎる夜、エアコンをどう設定して寝ればよいのか、ダイキンに訊いた

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 熱帯夜にエアコンを付けるのは安眠のためではなく命を守るため――。2022年6月、気象庁と環境省は「熱中症の現状と対策」を発表した。今でも気象庁の公式サイトなどで閲覧できる。担当記者が言う。

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「『現状と対策』では毎年4万人から5万人前後が熱中症で救急搬送され、死者も2018年から20年まで3年連続で1000人を超えたと紹介されています。さらに、21年夏に発生した熱中症による死亡者のうち、東京と大阪の監察医が死体検案を行った73人を調べると、屋内での死亡者の約9割がエアコンを使っていなかったことが分かったのです」

 気象庁と環境省は《死亡者数が年1000人を超えないようにすること》を中期的な目標として掲げ、重点対象の一つとして《昨今の世界情勢に伴う電気料金や安定的な電力供給への影響が懸念される中、エアコンを適切に利用し、熱中症予防行動につなげること》を挙げている。

「電気代が熱中症対策に大きな影響を与えています。東京電力をはじめとする全国の大手電力7社は、6月1日の使用分から電気料金を値上げしました。NHKが7社に《平均的な使用量とする家庭の電気料金》について取材したところ、東京電力は881円の値上がりで7690円、東北電力は1621円の値上がりで7833円、最大は沖縄電力で2771円の値上がりで9265円という回答になりました(註1)」(同・記者)

節電より命

 電気代の高騰に国民から悲鳴が上がっているのは言うまでもない。環境省は特設サイト「家庭でできる節電アクション」で、クーラーの使用時における節電方法として、【1】カーテンで窓からの熱の出入りを防ごう、【2】フィルターの掃除はこまめに、【3】室外機の周りに物を置かない──などのポイントを紹介している。

「とはいえ、命と電気代を秤に掛ければ、どちらが大事かは言うまでもありません。熱中症は日中だけでなく夜に自宅で眠っていても発症することがあります。睡眠中は水分補給がおろそかになる一方、発汗などで水分は失われます。『夏の熱中症の約4割は夜間に発症している』と警鐘を鳴らす医師もいるほどです(註2)」(同・記者)

 ダイキン工業は空調機器メーカーとして空調事業の売上高で「グローバルNo.1」を誇り、2021年度には全社売り上げが3兆円を突破した。同社に取材を依頼すると、広報グループの担当者が対応してくれた。

「睡眠時は『切タイマー』を3時間に設定する方もおられると思いますが、熱中症リスクの軽減という観点からは『在宅中なら、昼も夜もつけっぱなし』にするのが良いのではないかと思います。快適な温度は人それぞれではありますが、一つの目安になるのがクールビズでも推奨される28度です。ただし、この場合の28度はあくまでも室温の目安であり、エアコンの設定温度ではないことに注意が必要です」(同・担当者)

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