オールスターに落選「村上宗隆」の苦境 極度の不振は本人の問題だけではないとの指摘が

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村上のオールスター落選が意味するもの

 東京ヤクルトスワローズの村上宗隆(23)が「マイナビオールスターゲーム2023」(19、20日)に“落選”した。現在、日本のオールスターゲームの選手選出には4種類がある。選手の人気がそのまま反映される「ファン投票」、NPB選手が一目を置く選手を選ぶ「選手間投票」、指揮を執る監督が選ぶ「監督推薦」、そして、この3種による出場選手が選ばれた後、“もう一度ファン投票”で行われる「プラスワン投票」だ。

「プラスワン投票はポジションに関係なく、投票されます。一度発表された出場選手リストを見て、ファンが『この選手が見たい』『出場できないのはおかしい』と思った選手に投票するシステムです。今回、村上が選ばれなかったのは彼自身の不振のひどさ、ヤクルトの低迷を象徴する出来事。村上落選に驚く声はほとんどありません」(ベテラン野球記者)

 村上の前半戦を終えた時点での打撃成績は、打率2割4分2厘、本塁打16、打点49。打率は規定打席数に到達した27選手中22位。ホームラン王争いはリーグ同数の2位だが、トップの巨人・岡本和真(27)とは4本差をつけられており、打点部門でも1位のDeNA・牧秀悟(25)とは7点差となっている。三振「109」はリーグトップだ。

 昨年は「史上最年少」での三冠王に輝いたが、歴代三冠王のなかで翌年の球宴に選ばれなかったのは村上が初めてである。

「本人はとくに何も言っていませんでした。かといって、わざわざ、どう思うかって聞く者もいませんでしたが」(チーム関係者)

 チームも35勝46敗2分けの5位と低迷している。村上の復調がなければ、チームの浮上はない。主砲の復活が後半戦のポイントとなりそうだが、高津臣吾監督(54)は村上の不振について、東北遠征中の6月27日、こんなコメントを出している。

「疲れたり、今日だけ(休養日を設ける)というのはあるかもしれないけど、誰かが代わってラインアップに並ぶのは今のところ考えていない。彼らだけじゃないけど、この数年、あの2人が引っ張ってくれたわけですから。責任を背負ってプレーしていると思う」

 この頃は、村上のスタメン落ちも囁かれており、高津監督はそれを否定したわけだが、「彼ら」とも言っていた。そう、トリプルスリーを3度達成し、今季でキャプテンになって3年目となる山田哲人(31)も、極度の不振に喘いでいたのだ。

村上、山田の「負の連鎖」が響く

「山田も得点圏打率は1割3分3厘でした。村上と山田の両方が揃って不振では得点能力のダウンは当然です。投手陣全体に『失点したら負ける』と思わせ、萎縮させてもいました。スタメンから外すのかと聞かれて、高津監督も『外す』とは答えられないでしょう」(スポーツ紙記者)

 高津監督の言う「チームの牽引役」の不振が「負の連鎖」にもなっていた。翌6月28日、山田が指揮官の苦しい胸中を救うように先制の3ランホーマーを放ったが、7月3日に一軍登録を抹消された。2日の広島戦、5回にまわってきた第3打席でピッチャーゴロに倒れ、一塁に全力疾走した際に右足を痛めたという。

「4月12日のDeNA戦でもサードゴロの際に全力疾走し、負傷しました」(前出・同)

 このときも登録を抹消されているが、球団は「下半身のコンディション不良」としか発表していない。7月の登録抹消を含めて山田のケガの具合は分からないが、聞こえてきたのは「時間が掛かってもしっかり治すべき」の声だけではなかった。

「近年、山田の盗塁数が減少傾向にあります。山田は若くしてレギュラーに定着した選手なので勤続疲労みたいなものもあって、体に無理が利かなくなってきたところもあるんだと思います。もう、20代のころと同じ練習をやっていてもダメ。練習内容はもちろん、考え方から変える必要があるんじゃないか」(球界関係者)

 山田の離脱で村上への負担はさらに大きくなった。その村上の後ろを打つオスナ(30)、サンタナ(30)もいるが、たとえ彼らが打っても、その前に「村上が凡打」ではチームが盛り上がらない。ヤクルトの連覇に貢献してきた“優良外国人選手たち”だが、やはり、村上自身が昨季の輝きを取り戻さなければ、V戦線浮上は望めないのだ。

「変化球でもバットが遅れて出る場面が気になります。『読み』が外れたとしても、おかしいですよね。変化球にヤマを張って直球に振り遅れるのなら分かりますが」(前出・同)

「迷い」があるのだろうか。そんな村上がスタメンを外されたのが、7月1日の広島戦だった。前日の同カードでの守備中、ファールフライを追ってフェンスに左ヒザを強打した。大事を取っての休養であり、翌日はまたスタメンに復帰している。しかし、7月12日の中日戦。村上は「苦しい心境」を吐露している。この日の村上は5月13日以来、今季2度目の2打席連続“マルチ本塁打”をマークしたはずだが…。

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