六本木の名物ビルが取り壊しに 知られざる「第2六本木ヒルズ計画」とは?

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 外国人観光客が行き交う表通りを一歩入ると、お嬢様学校で知られる東洋英和女学院や国際文化会館が静かに立ち並んでいる。東京・港区の六本木5丁目界隈は、まるで都会から取り残されたような場所だが、やはり時間の流れには逆らえない。

 森ビルと住友不動産が名を連ねる「六本木五丁目西地区市街地再開発準備組合」が、この一帯の再開発計画を明らかにしたのは、6月24日のこと。別名「第2六本木ヒルズ計画」。約8ヘクタールの敷地に延べ面積108万平方メートルの施設を建設する壮大なものだ。

 そこで森ビルに聞いてみると、

「近隣住民の方を対象に説明したもので、計画は対外的には明らかにしていません」(広報室)

 代わって解説してくれた不動産関係者によると、森ビルがこれまで手掛けてきた再開発の中でも最も大きなものになるという。

「計画は、外苑東通りに面しているロアビルから鳥居坂下までが対象になります。計画区域は5街区に分けられ、外苑東通りに面している街区には66階建てのオフィスビル。また別の街区にはタワーマンションが建ちますが、288メートルとタワマンとしては日本一の高さになる。東洋英和女学院も建て替えになるものの、同じ場所に残り、登録有形文化財の国際文化会館もそのまま残されます」

六本木の中心的存在は取り壊しに

 一方で取り壊されてしまうのがロアビルである。飲食店やクラブなど雑多なテナントが入居する、六本木の中心的存在だった。2012年には2階に入居するクラブ「フラワー」で客が大勢の男に撲殺される「六本木クラブ襲撃事件」も起きた。主導役の男は今も海外逃亡中だ。そんなロアビルも、

「18年に東京都が公表した耐震診断結果で、“震度6強~7で倒壊の可能性が高い”とされ、解体は時間の問題となっていたのです」(同)

 不動産コンサルタントの森島義博氏によると、

「森ビルは、ひとつのプロジェクトを15~16年かけて開発します。第2六本木ヒルズ計画の発表にここまで時間がかかったのは、ロアビルのテナントを立ち退かせるのに手間取ったからでしょう」

 竣工は30年。華やかでありながら、どこか怪しげな六本木の風景が、また一つ消える。

週刊新潮 2023年7月13日号掲載

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