イチロー氏、シアトル開催の球宴に「なぜ姿を見せなかったのか」 WBC制覇でも貫いた大谷翔平に「ノーコメント」の不自然さ

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冗舌から一転、不自然な沈黙

 米大リーグは7月11日に恒例の真夏の祭典、オールスターゲームを終えた。大谷翔平(エンゼルス)は本塁打こそ出なかったが、開催地シアトルのTモバイル・パークのファンから「カム・トゥ・シアトル(シアトルに来て)!」の大合唱を受けるなどメジャーの顔になったことを見せつけた。シアトルと言えば、イチロー氏が現役時代の大半を過ごしたマリナーズの本拠地で、球団会長付特別補佐兼インストラクターを務める今でも拠点を置く。お膝元だけに、メディアはイチロー氏が姿を現すのではないかと待ち構えていたが、登場したのはイチロー氏のかつての同僚、元クローザーの佐々木主浩氏で肩すかしを食った格好になった。

 振り返ると、3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が優勝した際も、イチロー氏は公には大会MVPに輝いた大谷に言及していない。自身が頂点に導いた2009年以来となる日本のWBC制覇だったにもかかわらず……。

 イチロー氏はなぜ、不自然なほどに大谷に対するコメントを控えるようになったのか。

 イチロー氏は19年3月、東京開催の試合後の自身の現役引退会見では「世界一の選手にならないきゃいけない」「1シーズンごとにサイ・ヤング(賞)と本塁打王を取ったら……。翔平はその想像をさせる」などと冗舌にエールを送っていた。

 しかし21年、大谷が「9勝、46本塁打」の歴史的な二刀流による活躍で、01年のイチロー氏以来、日本人2人目のMVPに輝いた時にはコメントを出さなかった。大手メディアに与えた大谷個人への評価としては、そのシーズン終了時に発表していた「2021年のシーズンを機にできる限り無理をしながら翔平にしか描けない時代を築いていってほしい」などの言葉が最後となった。

 昨季、大谷は「15勝、34本塁打」でベーブ・ルース以来の「2桁勝利、2桁本塁打」の偉業を達成した。メジャーのスーパースターへの階段を上るのとは逆に、イチロー氏の大谷への個人的評価はメディアから消えていった。

 大谷は今季開幕早々、マリナーズ戦でシアトルを訪れると、グラウンドでイチロー氏に帽子を取ってあいさつするなど“最敬礼”の対応だった。今回の球宴ではTモバイル・パークのホームチームのクラブハウスに初めて足を踏み入れ、「どこが(イチロー氏の)席なのかなとか思ったりした」と無邪気な言葉に、幼い頃からの憧れの存在であることを改めてうかがわせた。

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