各界の「現役アラ100」を14人取材した著者に聞く 5つの共通点と多くの人が食べていたもの

ドクター新潮 ライフ

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「寝たきり老人大国」でも現役バリバリの「アラ100世代」

 日本では65歳以上を「高齢者」と呼んでいる。現在、その「高齢者人口」は3,627万人で過去最高だ(総務省統計局)。そのうち90歳以上は265万人。100歳以上でも9万人となっている。9万人とは、栃木県日光市の全人口(8万9,000人)に匹敵する数である。

 ところがその一方で、65歳以上の「要介護者」は約100万人、そのうち「寝たきり人口」は約35万人となっている(厚労省の国民生活基礎調査)。つまり、数字上は長寿国だが、その実態は「寝たきり老人大国」なのだ。

 そんな状況でも、90~100歳の、いわゆる「アラ100」世代ながら、現役で仕事をしている人たちがいる。日本人の平均寿命は84.3歳(男女平均)。それをはるかに超えても、まだ活躍中という、そんな14人に徹底取材したインタビュー集が話題となっている。「100歳で夢を叶える」(晶文社=7月12日発売)だ。

 さっそく著者(インタビュアー)の木村美幸さんに話をうかがった。ちなみに木村さんは、長年、大手児童図書出版社に編集者として勤務し、昨年、絵本作家・絵本コーディネーターとして独立した。最近では、絵本『バスが来ましたよ』(アリス館刊/筆名「由美村 嬉々」)が全国的なベストセラーとなっている、いま注目の女性だ。

「ちょうど私たちの世代は、再雇用も終わり、サラリーマン生活に終止符を打つ年代です。私自身も最近長年の編集者勤務を終え、フリーランスになったばかり。ところが、同世代のひとたちと話していると、これから悠々自適という人もいれば、もっと働きたいという人もいる。その一方で、体力がついてこない人もいれば、逆に、身体は丈夫だけど頭がついてこないという人もいる。実にさまざまなんです。ただ共通しているのは、具体的に何をすればいいかが、いまひとつはっきりしていない人たちが多いということでした」

 そんなある日、木村さんは、長年の付き合いがある詩人の谷川俊太郎さんと、ひさびさに一緒に仕事をした。そのとき谷川さんは90歳。もちろん、現役バリバリの詩人として活躍中である。

「谷川先生、実にパワフルなんですよ。ある詩のコンクールの審査員をお願いしたんですが、『僕は詩に優劣はつけたくない。どうしても審査するなら、きみがやりなさい!』と言われ、かえってこちらが小さくなってしまいました。本書のインタビューでも、何かを“一番いい”とか“一番好き”だと決めるのは嫌いだと、はっきり言われています。しかも詩を書き続けることが生きがいで、当たり前のように生涯現役の意識でいらっしゃる。その考え方がとても若々しいので、つい『先生、あと30年くらい、生きてくださいよ』と言ったら、『それじゃ120歳になっちゃうじゃないか』と笑っておられた。そのときの笑顔がとてもすてきで、もしかしたら、100歳前後で現役の方は、みなさん、こういう笑顔をされるんじゃないか、そこに私たちの世代が学ぶものもあるんじゃないかと思ったんです」

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