俳優「田村亮」の父親は時代劇の大スター・阪東妻三郎 没後70年で現存する劇映画日本最古のネガで修復された「雄呂血」がテレビ初放送
4Kリマスター版「雄呂血」
そして父・妻三郎の没後70年となる今年、映画史に輝く傑作チャンバラ時代劇として知られる「雄呂血」(1925年)が4Kデジタル修復版として蘇り、テレビ初放送(初回放送7月8日[時代劇専門チャンネル]https://www.jidaigeki.com/osusume/orochi/)となる。この作品は劇映画としては現存する日本最古のもので、奇跡的に発見された文化財級のオリジナルネガを最大限に活かしてデジタル修復された。8万8000ものコマを手作業でノイズを除去、上映速度を調整、サイレント作品のため今回は国立演芸場花形演芸大賞の金賞を受賞した気鋭の活動写真弁士・坂本頼光による活弁と、海外でも評価の高い作曲家・清水靖晃による音楽が加わり、艶やかで躍動感ある仕上がりになっている。
物語は、家老の息子の嫌がらせで塾を破門された久利富平三郎(阪東妻三郎)が、思いを寄せていた奈美江(環歌子)にも絶交され、浪々の無頼漢となり果てながら最後は悪党に対して怒りを爆発させる。
クライマックスのリアルでダイナミックな大立ち回りは、それまでの舞踊のような様式的な立ち回りからチャンバラの歴史を変えたといわれる。端正な顔立ちと豊かな表現力で「剣戟王」と称された妻三郎の才能が、まさに爆発している。
舞台で「雄呂血」を演じたことがある亮は、改めて本作を見て「ちっちゃいときから聞いて、見ていた作品で、正和兄貴と『親父もようやるなあ』と話したこともある」「平三郎の『人を斬ってしまった』という葛藤がよく出ている」「兄貴(高廣)は父の殺陣を意識して時代劇に出ていたと思う」「晩年の父はセリフを覚えるのに苦心し、巻紙にセリフを書いて家の欄間に貼っていた」と語る。
可燃性のためほとんど現存しないこの時代のオリジナルネガが発見されたのは、妻三郎が自身のプロダクションの第1回作品であるこの作品を愛し、大切に保存していたから。発見されたとき桐箱に入っていたという。亮の記憶によると、広い屋敷には長い廊下や蔵、庭には大きな池もあって、正和と走り回っていたそうだが、その蔵の中に保存されていたかは定かではない。
「雄呂血」を放送する時代劇専門チャンネルでは、オリジナル番組「阪妻と雄呂血 ~田村家の100年~」を制作。亮は俳優で息子の田村幸士(46)とともに、一部が保存されている太秦の家や母校を訪ねたり、4K修復版制作プロジェクトの過程も紹介する。








