公安部警察官が「まあ、捏造ですね」「捜査員の欲でそうなった」前代未聞の証人尋問で明らかになった不正捜査の数々【大川原化工機事件】

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「まあ、捏造ですね」の爆弾発言

 高田弁護士の濵崎賢太警部補に対する証人尋問の終盤を再現する。

――本件は経産省がしっかりと解釈運用を決めていなかったという問題が根本にあるものの、公安部がそれに乗じて事件をでっちあげたと言われても否めないのでは?

濵崎警部補:まあ、捏造ですね。

――捜索により客観的な証拠は全て押収し、1年以上の任意取調で役職員から幅広く供述を得ている以上、口裏合わせは考えられないのだから、逮捕勾留の必要もなかったのでは?

濵崎警部補:そう思う。

――逮捕されるべきでない人が逮捕され11カ月間も身柄拘束されることは決してあってはならないことだと思います。捜査を担当した立場として、誰がどうしていれば、この事態を防ぐことができた?

濵崎警部補:幹部が捏造しても、その上に指導監督者が何人もいたわけだから、その責任を自覚していれば防げただろうし、警視庁の通報窓口に捜査員から通報があったら、警視総監が承認した事件であるが、その通報を真摯に受け止めていたら、ここまでひどくはならなかったと思う。

 証言席の警察官が組織の捜査を「捏造」と断言するなど聞いたことがない。傍聴席の警視庁関係者は真っ青になったことだろう。

 さらに、裁判官の質問に濵崎警部補は「輸出自体には問題はなく、捜査員の個人的な欲でそうなった」と証言した。桃崎裁判長が「捜査員の欲とは?」と尋ねると、「客観的事実がないのに、これだけの捜査をした(のは)、捜査員がこうなりたいと思った、それ以外に考えられない」と答えた。

 また、時友仁警部補 は「捜査幹部がマイナス証拠を全て取り上げない姿勢があった」と証言した。

 その一方で、彼らの上司の宮園勇人警視(当時は警部)は「当時は着手すべき事件だった」と捜査を正当化した。

 閉廷後、記者に囲まれた高田弁護士は「驚いた。現役の捜査官が、(証拠が)ないところから事件をつくったことを肯定したのです」と話した。大川原社長は「上司の命令は絶対と言う警察組織の中で、正直に話してくれる人がいたことは少し安心できる」と喜んだ。

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