「ニュースウオッチ9」に訪れたお取り潰しの危機 「ニュース7」とは全く違う弱すぎる局内でのポジション

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 NHK「ニュースウオッチ9」の“捏造報道”を巡り、放送倫理・番組向上機構(BPO)が審議入りを発表すると、NHKは対応を迫られた。結果、制作に関わったトップ3名の尻尾切りを決めたのだが、問題はそれだけで済みそうにない。番組自体の存続の危機まで囁かれ、あの人気アナの今後にも影が差している。

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 問題となったのは5月15日、「ニュースウオッチ9」のエンディングだった。「新型コロナ5類移行1週間・戻りつつある日常」と題したおよそ1分間のVTR。そこには新型コロナワクチンの接種後に急死した人たちの遺族の姿が映されていた。しかし番組は、その死因を一切説明せず、遺族をまるで「コロナ感染で肉親を失った人たち」かのように報じたのだ。

 取材に応じた「繋ぐ会(ワクチン被害者遺族の会)」はNHKに抗議。すると翌日の放送で「ウオッチ9」の田中正良キャスターは「新型コロナに感染して亡くなったと受け取られるように伝えてしまった。適切ではありませんでした」と釈明した。

 NHKの24日の定例会見では、稲葉延雄会長が「全く適切ではなかった。深くお詫わび申し上げたい」と謝罪している。

 これを受けてBPOは「放送倫理違反の疑いがあることから、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要がある」と審議入りを発表した。NHKの報道局関係者は言う。

「早速、上層部は番組スタッフの人事に手を入れました。7月3日発令の人事で、問題のVTRをチェックした2名の編責(編集責任者)うち政治部出身のひとりは解説委員に、社会部出身のもうひとりは大阪放送局の報道統括に、さらに、番組トップの編集長は報道改革プロジェクトなるセクションに異動することになりました」

 解説委員と大阪放送局の報道統括、そして、何やらご大層な報道改革プロジェクト行き……。一体、これらの人事は栄転なのか。

「基幹ニュース番組」なんかではない

「そう見る向きもありますが、局内では体よく見せた左遷という声が多いですね。解説委員は、ある分野に精通したプロ中のプロみたいな肩書きとは裏腹に、正直言って、現場ではラインから外れた人という認識です。報道統括といっても東京ではなく大阪放送局の話ですし、報道改革プロジェクトにいたっては何をやる部署なのかもよくわかりません。彼らトップ3名は、当面の間、本流から外れてもらったということでしょう。いかにも外部からの声に弱い放送協会ならではの判断です」

 これで一件落着かといえば、そうではない。さらに大きなヤマ場が来そうだ。

「番組がなくなるかもしれません」

 と関係者は囁く。だが「ウオッチ9」はNHKの大看板だったはずで、おいそれとお取り潰しなどできるのか。

「『ウオッチ9』は一般的に、『おはよう日本』『ニュース7』と並ぶ3大基幹ニュース番組のように見られていますが、実は3大ニュースでも何でもありません。『おはよう日本』と『ニュース7』は基本的に、ずっと継続される番組という位置づけです。ところが『ウオッチ9』はそうじゃないんです」

 どういうことなのか。

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