マイナ事業で荒稼ぎするパソナと竹中平蔵氏 30年前の写真で「デタラメカード」が発行される問題も…役所の担当者は「上司が急かすから」

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 5×8センチの小さなプラスチック板の是非を巡って、日本中が大きく揺れている。保険証との一体化が強行される中、マイナカードに関するトラブルは広がる一方で、内閣の支持率も急落。事業の裏には、岸田総理が頬かむりする「不都合な真実」がまだ隠されていた。

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「本人とは似ても似つかない写真がカードに使われる例が増えているんです」

 と、まずは現場の声からお届けしよう。

「今後、これが身分証明書として使われて大丈夫かと心配になりますね」

 そう嘆くのは、東海地方のさる地方自治体でマイナンバーカードの業務補助員として働く女性である。

「カード交付の際、本人確認作業をしていると、ある高齢者の方が明らかに30年くらい前の若い頃の写真を使っている。本人に聞いても“2カ月前に撮りました”と言い張りますが、どう見ても違い過ぎる」

「上司が急かしてくる」

 あるいは、こんな例も。

「若い人の中には、見栄えをよくしたいのか、アニメ風に加工されたアバターとでもいうべき“写真”を持ってくる人もいる。また、極度に笑っていて瞳が潰れたり、横を向いてしまっていたり、あるいはサングラスをかけていたり……同僚と、こんなモノで大丈夫かなと愚痴っていますが、うちの役所ではどんどん通してしまっているんです」

 なぜか。

「上司が急かしてくるからですよ。どんどん交付しろと。他の役所と交付数を競い合っていて、上司が“隣では何枚を達成したぞ”と現場にプレッシャーをかけたり、市会議員が“うちはいま何枚だ!”と尋ねてきたりするところも。以前はダメな写真ならはねていましたけど、そういう事情もあって、カードの再申請などはお願いしない」

 交付作業自体にも難あり。

「1人3分以内を想定し、それ以上にはならないようにとの指示を受けている。うちの役所では多い時には150人も交付した日があります。それくらいのペースでさばかないと進まないですからね。写真について尋ねたりしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまいますよ」

 カップラーメンを作るほどの時間で大事な「身分証明書」が交付される。それが今後、本人証明の唯一の手段となったら……実に恐ろしい。

大臣に忖度

「確かに写真の件は危うさを感じます」

 と感想を述べるのは、首都圏のある政令指定都市でマイナカード交付事業に携わる男性職員だ。

「部屋の背景が写っていたり、免許証を撮影した写真だったり……」

 として、こう言う。

「確かに“上”は急かしてきますよ。総務省がどの自治体が何枚かということを公表していますが、それに加えて総務大臣から各自治体にマイナカードの普及を促す書簡が送られてくるようになったんです。総務大臣の選挙区の自治体などは、“うちの大臣に恥をかかせられない”と忖度して頑張るところも出てきています」

 続けて明かすには、

「現場にいて困るのは、窓口で“一体、何のメリットがあるのか”と聞かれた時。コンビニで書類が交付できますよ、くらいしか答えられない。『持っているとメリットがあるカード』という触れ込みが、保険証との一体化によって『持っていないとデメリットがあるカード』になってしまっている。メリットがあるから、ではなく、デメリットがあるぞと脅して交付を迫る現状に疑問を感じながら仕事をしています……」

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