「マイナはデジタル弱者をはじき出す制度」 オンライン機器導入で「廃業」の病院も

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 もはや国民的心配事となった「マイナンバーカード」騒動。来秋には紙の保険証の廃止を控える中、混乱は未だ続いている。高額なシステムに医師の怒りは収まらず、デジタル庁内部の問題も指摘される。だからこそ河野大臣へ直言。「マイナ保険証は要らない!」。

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「100%のテクノロジーというのはありませんから、トライ&エラーを繰り返して進めていくしかないということですよ。“嫌な人がいるからやらない”だとデジタル政策は前に進められなくなってしまいます」

 と語るのは、“日本のインターネットの父”と称される慶應義塾大学教授の村井純氏(68)。村井氏は1984年、大学をつなぐネットワーク間接続「JUNET」を設立し、その後もインターネット網の整備を進めてきた斯界の「第一人者」だ。政府のデジタル政策にも深く関与し、現在はデジタル庁の顧問も務めている。

 そのデジタル庁が中心となり、マイナンバーカードの普及を進めるも、個人情報の“誤ひもづけ”などのトラブルが続出している。

日本になじまない部分が

 連日のようにメディアで報じられ、国民が不安に駆られる中、村井氏の自宅を訪ね、今回の“マイナカード騒動”について聞くと、こう続けた。

「デジタルIDは多くの国で導入されており、マイナンバーの必要性は明らかだと思います。カードという点も特に異論はありません。アメリカではカードではなく、ソーシャルセキュリティーナンバーと呼ばれる番号だけで運用しています。ただ、そうするとアメリカのように指紋をどうやって集めるか、などという話になり、日本になじまない。従って、こういう(ナンバーとカードによる)運用になったのだと思います。オペレーション的なところは私にはわからないですが、カードは9千万枚を超えるところまで普及しています。口座との結び付けがうまくいかないといった不備があっても、全体の比率からいえば、それほど心配することではないと思っています」

 そう言って、マイナンバー制度の有用性を力説する。

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