【どうする家康】瀬名のユートピア計画に覚える違和感 ウクライナ戦争に影響を受けたか

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 NHK大河ドラマ「どうする家康」が折り返し地点に差し掛かった。6月25日放送の第24話では徳川家康(松本潤・39)の正室・瀬名(有村架純・30)が戦いのない世の実現を目指したが、挫折した。もちろん、フィクションだ。史実を大胆なまでに改変するこの大河は何を訴えているのか。

歴史改変は吉か凶か

 大河ドラマはウソが含まれていたっていい。ドラマなのだから。史実に拘り過ぎると、歴史ドキュメンタリー番組になってしまう。

 半面、義務教育で誰もが習い、記憶にある歴史を改変すると、視聴者側に違和感が生まれるのは避けられない。歴史改変が容認されるか、拒絶されるか。それが「どうする家康」の支持度に深く関わっているに違いない。

 最近の大きな歴史改変は、第24話における瀬名による“ユートピア計画”だった。1577年、瀬名は戦いのない国をつくろうとした。

「日本国を1つの慈愛の国にするのです」(瀬名、第24話)

 賛同したのは、武田勝頼(眞栄田郷敦・23)の有力家臣・穴山信君(田辺誠一・54)や同じく密偵の望月千代(古川琴音・26)、家康との長男・信康(細田佳央太・21)たち。やがて家康の承認も得た。

「奪い合うのではなく、与え合うのです」(瀬名)

 勝頼も話に乗り、戦いを繰り返していた徳川方と武田方の非戦が実現する。「勝頼を倒せ」と家康を急かしていた織田信長(岡田准一・42)の目は欺いた。家康と勝頼は戦うフリをした。

 瀨名は、やがて非戦に賛同する武将が増えて大国になり、実力者の信長すら手出しが出来なくなると考えた。しかし、その夢は瞬く間に破れる。勝頼が裏切った。いや、最初から非戦など考えておらず、このユートピア計画を利用しようとしていた。勝頼は計画の全容を暴露し、信長と家康の反目を目論む。

 脚本を書いている古沢良太氏(49)とスタッフは、ウクライナ戦争など争いの絶えない現代社会へ向けてのメッセージの意味も込めてストーリーを紡いだのではないか。無論、メッセージ性のある大河があったっていい。「八重の桜」(2013年)も、東日本大震災で傷ついた人たちを励ますためにつくられた。

 半面、瀬名の計画には首を捻る部分もあった。非戦の監視態勢をどう敷くのか。また、兵の一部が暴走し、局地戦を起こしてしまったら、どう対処するのか。これらの問題を一切考えず、戦術家の家康と穴山が簡単に同意したのも解せなかった。

 また、大国になろうが、信長など好戦的な勢力が攻めてくる可能性は十分ある。その時は非戦のスローガンを撤回して応戦するのか、それとも戦わずに玉砕するのか。フィクションである上、疑問点が加わったので、すっきりしなかった。

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