中日・落合監督に「出した甲斐があった」と言われ…トレードで野球人生が変わった選手たち

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移籍1年目に“3割打者”

 現役ドラフトでソフトバンクから阪神に移籍した大竹耕太郎が開幕6連勝を記録し、FA移籍・近藤健介の人的補償としてソフトバンクから日本ハムに移籍した田中正義も守護神を務めるなど、トレードを機に飛躍した選手が相次いでいる。過去においても、前球団ではほとんど活躍できなかったのに、新天地で大きくはばたいた男たちがいた。【久保田龍雄/ライター】

 前年は2試合しか出場できなかったのに、移籍1年目にいきなり3割打者になったのが、2006年に中日から楽天にトレードされた鉄平である。

 中日時代の鉄平(本名・土谷鉄平)は、1軍初昇格をはたした04年に代走や守備固めで50試合に出場したが、翌05年はウエスタンで打率.336、13盗塁を記録したにもかかわらず、1軍出場2試合にとどまった。

 当時の中日は福留孝介、アレックス、井上一樹ら外野陣が充実し、立浪和義や森野将彦が外野に回ることも。2軍で好成績を残しても、その中に割って入るのは至難の業だった。

 せっかくの才能が埋もれてしまうのを惜しんだ落合博満監督は「ほかのチームなら(チャンスが)あるんじゃないか」と考え、金銭トレードで楽天に送り出した。

「何で中日はあんな選手をくれたんや?」

 2006年、球団創設2年目のチームで、鉄平は俊足巧打の選手を好む野村克也監督に開幕からスタメンに抜擢されると、5月後半以降、“安打製造機”ぶりを発揮し、1番打者に定着した。

 そして6月2日、交流戦で古巣・中日との対決が実現。試合前に落合監督から「出した甲斐があった」と褒められた鉄平は、2回2死満塁で逆転2点タイムリー二塁打を放つなど、5打数4安打と打ちまくり、一人前の主力に成長した姿を披露した。

 野村監督も「何で中日はあんな選手をくれたんや?」とすっかり秘蔵っ子になった鉄平を信頼し、7月に打者としてはNPBワーストの9打席連続三振を記録しても使いつづけた。同年、初めて規定打席に達し、打率.303をマークした鉄平は「3割打てたのは、変わらず使ってくれたから。あれがなければ、僕の野球人生は終わってた」と感謝している。09年には打率.327で首位打者を獲得。まさにトレードによって大きく切り開かれた野球人生だった。

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