人工甘味料で「脳卒中」「糖尿病」リスク、WHOが警鐘 トクホ食品にも要注意

ドクター新潮 ライフ

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「脳卒中や糖尿病になるリスクが上昇する」――WHOが出したガイドラインにはっきりとそう書かれているのだから重大事である。本誌(「週刊新潮」)が繰り返し安全性に疑義を呈してきた人工甘味料。この期に及んでもその“魔法の粉”を使い続ける食品メーカーにだまされるな!

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 人工甘味料を含む食品添加物が使用されるのは、ほとんどが大量生産やコスト削減など商品を作るメーカー側の事情であり、われわれ消費者のためではない。例えば、砂糖の約1万4千~4万8千倍もの甘さを誇るアドバンテームという人工甘味料がある。菓子などを作る時に多量の砂糖を使うか、あるいはごく少量のアドバンテームを使用するか。コストの面だけを考えれば、メーカー側がどちらを選ぶかは明白である。

 しかし、メーカー側が自らの都合だけを考えてその“魔法の粉”を使い続けていいのかどうか。いったん立ち止まって考える時期が来ているのは間違いない。

脳卒中、糖尿病リスクが

〈WHO「甘味料控えて」低カロリー、体重管理に貢献せず〉

 6月12日、1面トップにそんな見出しを掲げたのは日本経済新聞夕刊である。

 記事によると、

〈低カロリーをうたう飲料や食品に使われる甘味料をめぐり、世界保健機関(WHO)が体重管理や病気予防のための摂取を控えるように勧める指針をまとめた〉

 WHOがやり玉にあげたのはアスパルテームやアセスルファムK、スクラロース、アドバンテーム、シクラメート、ネオテーム、サッカリン、ステビアといった非糖質系(ノンシュガー)と呼ばれる人工や天然の甘味料。これらと健康や病気に関する世界の283件の研究を総合的に分析し、まとめられたのが今回の指針である。

〈分析の結果、非糖質系甘味料は3カ月以内の短期間では体重や体格指数(BMI)を下げる効果があったが、6~18カ月の長期間になると体重を減らす効果はみられなかった〉

〈長年にわたって摂取した場合、脳卒中などの心血管疾患や2型糖尿病のリスクが上昇するなど「望ましくない」影響が出る可能性も指摘した〉

 長期的には体重を減らす効果がないだけではなく、脳卒中や2型糖尿病のリスクが上昇する。それが事実であればまさに百害あって一利なし。WHOが発表した指針の原文にはこうある。

〈非糖質系甘味料の摂取量が多いほど、脳卒中(19%増)およびその前駆症状の高血圧(13%増)を含む心血管疾患のリスクが32%増加した〉

〈あらゆる原因による死亡(すなわち全死亡)リスクが10%増加し、心血管疾患による死亡リスクが19%増加した〉

 さらに、妊婦は特に注意が必要なようで、

〈早産のリスクが25%増加することが示された〉

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